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「早く、走れ!」地震、迫る土砂、のまれる隣家 動画に残る猛威


 「パチパチッ」「ドドド」……。木の枝が折れる音がしたかと思うと、低い地鳴りが響き、土の臭いが立ちこめた。石川県輪島市を震度6強の揺れが襲った1日の能登半島地震。その直後、同市市ノ瀬町の山あいの集落で、住民の男性(26)が大量の土砂に数軒の民家が押し流される様子をスマートフォンで撮影した。「あと一歩で自分も巻き込まれたかと思うと戦々恐々とした」。男性は毎日新聞の取材に「その瞬間」を振り返った。

 男性は現場近くで両親と3人暮らし。1日は県内から帰省した姉夫婦と5人で新年を過ごしていたという。午後4時過ぎに最初の揺れを感じ、「いつもの地震かな?」と思った直後、間髪入れずに大きな揺れが来て、家を飛び出した。周囲には土砂災害特別警戒区域や土砂災害警戒区域に指定されている場所もある。男性は「これは土砂崩れが起きる」と直感し、とっさにスマホを向けたという。

 動画には、山から大量の土砂が津波のように流れ出し、民家や電柱を巻き込みながら迫り来る様子が映っている。男性らは当初、「崩れとる! うそやろ?」と現実を受け止められない様子だったが、男性の自宅に母親が残っていることに気づくと、「早く、走れ! 走れ!」と繰り返し避難を叫ぶ切迫した場面が記録されている。

 男性によると、土砂は尾根伝いに別の方向からも押し寄せたといい、男性の自宅の1~2メートル手前で止まった。近隣の民家5、6軒が巻き込まれたとみられ、一部の住人とはその後、連絡が取れないという。男性は「近所の親しい人たちばかりで、心配だ。何とか助かってほしい」との一心で、捜索に役立てばとX(ツイッター)に動画を投稿した。

 男性の家は倒壊こそ免れたが、窓ガラスは割れ、室内には物が散乱、とても住める状態ではないという。その日は近くの消防小屋で一夜を明かし、現在は両親と共に県南部の姉夫婦の家に身を寄せる。自宅に残してきた飼い猫の様子が気がかりだが、道路網は至る所で断絶しており、「インフラ整備が進むまでは帰れない」と嘆く。

 家族とは、復興が進んでも金沢市周辺に移り住むことを話し合っているという。「また同じ目に遭うかもしれないと思うと、もう戻れない。生まれ育った土地を離れたくはないが、命には代えられない」【郡悠介】

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