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バブル崩壊後に閉業・廃虚化…温泉街のホテル再生へ 群馬・みなかみ


 かつて多くの団体旅行客でにぎわった水上温泉街(群馬県みなかみ町)で、廃業したホテルの建物を再生するプロジェクトが進められている。町とともに手がけているのは、東京大大学院の大学院生や民間企業、地銀。バブル崩壊などで廃業し、老朽化したまま放置された大型旅館やホテルが廃虚と化して各地で問題になっている中、地元住民と話し合いを重ね、新たな温泉街の魅力を掘り起こそうとしている。

 「温泉街の玄関となる広場を整備し、街の中心部を川の音を楽しみながら歩けるようにする」。昨年12月11日、群馬銀行旧水上支店で東大の大学院生らが住民にプロジェクトのコンセプトを説明した。

 中核となるのは、同町湯原の旧「一葉亭」の再生だ。戦後に「ひがきホテル」として開業し、1970年代に隣接するホテルを買収して大型化した。だが、バブル崩壊後は客数減少が続き2016年に経営破綻。17年に一葉亭として再開するも19年に閉業してから建物は手つかずの状態で放置された。

 事態が動き出したのは21年9月。民間と連携して遊休不動産のリノベーション事業などを行ってきた町と、不動産会社「オープンハウスグループ」(東京都)、東京大大学院工学系研究科、群馬銀行(前橋市)の4者が連携協定を結んだ。温泉街の中心部に位置する旧一葉亭の土地をオープンハウスグループが取得し、一帯を再生するための協議が始まった。増築を重ねた建物は経営していた企業が町に寄付し、その一部を利根川の景観が見えるように解体。町は改修や新築の上、観光施設として活用する方針で、26年の新規開業を目指して事業者を公募している。

 旧一葉亭の再生に向けた地元の期待は大きい。近くで生まれ育ったというまんじゅう屋「丸須製菓」の2代目、沼尻好彦社長(57)は「温泉街が再び寂れることなく、住民が誇りを持てるような街づくりをしてほしい」と語り、「住民が暮らしにくい雰囲気になったり、活動に否定的な声が上がったりすることがないように、意見すべきところはしていかないといけない」と話す。

 同大学院都市デザイン研究室の永野真義助教(37)は、街が景観や印象を保つためには「敷地の中で閉じないこと」が重要だと指摘する。再生に向けて一つの指針となるのが、22年夏から地域住民との対話やフィールドワークを重ねながらまとめた「コンセプトブック・アイデア集」だ。コンセプトブックでは地域に開かれた広場を中心とした計画を提案する。永野助教は「旅館の内側だけでなく、敷地の外側も『うち』という感覚を持たないと景観は悪くなる。事業者には広場まで自分家(ち)だと思って関わってほしい」と期待する。

 プロジェクトに参加する修士1年、元吉千遥さん(23)は同町の街づくりについて「リノベーションなど小さな動きはすごくあるが、置いていかれている人もいるのではないか」と分析した上でこう話した。「町全体として主体的に関わることが街づくりには必要なことだと思う」【西本龍太朗】

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