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125年の歴史重ね 台湾由来の「新高堂書店」が閉店


 東京・中目黒の老舗書店「新高堂(にいたかどう)書店」が12月30日に閉店した。日本統治下の台湾で創業し、戦後は中目黒に店を構え、家族経営で125年の歴史を重ねてきた。営業最終日には常連客らが相次いで訪れ、名残を惜しんだ。

 仕事帰りによく立ち寄ったという人や毎週週刊誌を買いに来た人など、常連客らが次々と訪れ、店の思い出を語った。最後の客となった男性は東野圭吾氏の小説など2冊を購入。「これだけお客さんとコミュニケーションをしている店はない。温かさが伝わってくる」と話した。

 11月に閉店を告知した後、台湾とのかかわりを知って店を訪れる台湾人客が増え、台湾メディアからも取材を受けた。5代目経営者の梅田美音(みね)さん(48)は「台湾人のご夫妻が訪れ、『新高堂に来るために台湾から来ました』と言われて本当に驚きました」と明かし、台湾との縁を改めて感じたという。

3階建ての店舗の時代も

 30日は午後8時に閉店。壁の棚に創業者らの位牌(いはい)を並べ、集まった親戚たちがクラッカーを鳴らして、みなで記念写真を撮った。

 新高堂は、日本が統治していた時代の台北で1898年、村﨑長昶(ながあき)が創業。台北一の繁華街に3階建ての大きな店舗を構え、台湾最大の書店に発展した。敗戦後の1946年、一家は日本に引き揚げ、48年ごろ、2代目の敏昶(としあき)・清子の夫妻が中目黒で書店を始め、家族で経営をつないできた。

 「本屋は街の文化の発信拠点」を信条に、街の本屋さんとして親しまれてきたが、デジタル化や出版不況の影響で苦境が続き、閉店を決断した。

 梅田さんは「書店を閉じる実感がまだないが、みなさんに感謝しかない」と語る。梅田さんの母、伊津子さん(78)は「娘がやるだけのことはやったので、ご先祖さまたちも満足しているはず」と言い、苦労をねぎらった。

再スタートはカフェとして

 書店としては幕を下ろしたが、同じ場所でカフェとして再スタートを図ることを決めた。新高堂の屋号は残し、台湾や本とのつながりを生かしながら、2024年のゴールデンウイーク前の開店を目指す。

 店舗改修費などの一部300万円をクラウドファウンディングで募り始めた。募集は2月末まで。梅田さんは「頑張って新しい新高堂につないでいきたい」と意欲を見せている。【鈴木玲子】

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