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ギグワーカーを「従業員」に EU指令案に暗雲、異例の承認見送り


 ウーバーイーツなどのプラットフォーム企業から単発の仕事を請け負う「ギグワーカー」の権利保護を目指す欧州連合(EU)の指令案の協議が、最終段階で暗礁に乗り上げている。EUの主要機関が12月中旬に大筋で合意したが、その後に一部の加盟国が異議を唱えた。この段階で手続きが滞るのは異例だ。EUは来年1月中旬以降に協議を再開し、妥協点を探る。

 EUの加盟国で構成する理事会、行政執行機関にあたる欧州委員会、欧州の議員らによる欧州議会の3者は13日、ギグワーカーを一定の条件下で「従業員」とみなす指令案に大筋合意した。この合意内容が最終案となり、理事会と欧州議会の正式承認を経て、導入が決まるはずだった。

 しかし、22日に開かれた理事会の大使級会合で反発の声が上がり、承認は見送られた。欧州議会などとの3者協議にはEU議長国スペインが理事会の代表として参加したが、欧州メディアによると、フランス、イタリア、ハンガリー、チェコなどが大筋合意の内容について「理事会の立場からかけ離れている」と主張したという。

 問題となっているのは、ギグワーカーを従業員とみなす「雇用の推定」の条件についてとみられる。ギグワーカーにプラットフォーム企業との雇用関係が認められれば、最低賃金や労災・失業手当などの権利が保障され、労働環境は大きく改善される。ただ一方では、雇用以外の働き方の幅を狭めて労働市場が硬直化し、経済が悪化する恐れもある。フランスなどは「雇用の推定」を幅広く適用することに否定的だった。

 大筋合意では、企業が報酬の上限を決めている▽(アプリなどの)電子的手段で業務を監督している▽労働条件の管理と労働時間の選択を制限している――などの基準のうち二つを満たせば、企業とギグワーカーが雇用関係にあるとみなすことにした。

 理事会は大筋合意に先立ち、各国当局の裁量でこの適用を除外できる規定を盛りこむほか、満たすべき基準を三つにすることなどを提案していた。「雇用の推定」の適用範囲を限定する内容だった。

 理事会は来年1月中旬にもこの問題を再び協議する見通しだ。ただ大筋合意された内容に対し理事会が大きく修正を加えようとすれば、欧州議会からの反発は必至だ。欧州議会は逆に「雇用の推定」をより広範に適用するよう求めており、両者の意見の食い違いが深刻化する可能性がある。指令案を推進する欧州議会議員からは「大筋合意に反対する加盟国は(プラットフォーム企業の意向を受けた)ロビー団体に操られている」と批判する声も上がっている。【ブリュッセル岩佐淳士】

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