政府は21日、人工知能（AI）に関する有識者会議「AI戦略会議」の第7回会合を首相官邸で開き、国内事業者向けガイドライン（指針）の最終案を示した。「人間中心」「安全性」「透明性」など、事業者向けの10原則を設けた。2024年3月までに正式決定する。
AIの開発にあたって、開発者は学習データに偏りがないか確認し、開発過程の記録を保存。学習方法を利用者に開示するなど、透明性の確保やリスクを抑える工夫も求める。12月に主要7カ国（G7）が合意した生成AIに関する国際指針と行動規範の内容を踏まえ、サイバーセキュリティー対策などを求めている。指針に法的拘束力はない。
欧州連合（EU）は法規制を目指し、バイデン米政権は安全性確保に向けた大統領令を発表するなど、AIを巡るルール作りが国際的に加速している。
また、会議で岸田文雄首相はAIの安全性を評価する組織「AIセーフティーインスティチュート」を24年1月に創設することを表明した。AIやサイバーセキュリティーに詳しい専門家などを集め、独立行政法人「情報処理推進機構（IPA）」に設置する方針。
AI開発企業の安全性評価基準の作成や、軍事転用リスクなどを検証する。米国や英国でも同様の組織が作られる見通しで、国際的な連携強化を目指す。【後藤豪、道永竜命】
