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変幻自在のマルチ組織 業務停止中に新会社作り、事業を継続


 悪質なマルチ商法で東京都から9カ月の一部業務停止命令を受けた三つの会社の関係者らが、その期間中に別会社を作って事業を続けていたことが毎日新聞の取材でわかった。強引に会員を勧誘し、高額な入会金を支払わせるなど、手口もほぼ同じだった。変幻自在のマルチ組織に、規制が追いつかない実態が浮かんだ。

 この3社は、いずれも東京都内にある「President(プレジデント)」と、その関連会社の「Pioneer(パイオニア)」、「Monolith(モノリス)」。

 都によると、3社は連携共同して、マッチングアプリでカフェに誘い出した大学生らに対し、運営するビジネススクールで投資を学べるとうたって強引に長時間勧誘。「入会とタブレット購入を合わせて42万9000円が必要で、会員を1人勧誘すると10万円の紹介料が得られる」という高額な契約を結ばせたり、その資金を消費者金融で借り入れるよう指示したりしていた。

 都は3月、こうした不適切な勧誘による契約は、特定商取引法が禁じる悪質な「連鎖販売取引」(マルチ商法)にあたるとして、3社に12月までの一部業務停止命令、3社の代表者に12月まで、会員1人に6月まで、同様の業務をすることを禁じる命令をそれぞれ出した(https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2023/03/07/07.html)。

 ところが命令が出た翌4月、パイオニアの幹部会員だった女性を代表にした新会社「More(モア)」が都内に設立され、3社の一部の会員らが、新たにモアの会員として同様の勧誘をしていたことが、毎日新聞が入手した複数の資料や、元会員らの証言などでわかった。

 パイオニアが会員向けに開催したビジネススクールと称するセミナーの動画では、行政処分を受ける前日に、パイオニアの代表がモアの代表に業務を引き継ぐ様子が確認された。モアが開催したセミナーの動画や懇親会の写真には、3社の代表者らが登場していた。

 3社とモアの事業内容や勧誘手法も酷似していた。パイオニアとモアの契約書は、文章やイラストがほぼ同じで、入会金も同じ42万9000円(モアは後に増額)だった。

 毎日新聞は3社とモアに質問状を送ったが、18日までに回答はない。

 マルチ商法に詳しい長田淳弁護士(埼玉弁護士会)によると、処分を逃れるため組織を変える手法は、中小のマルチ組織でよく使われるという。「マルチ組織が行政処分されたり、SNS上で悪いうわさを流されたりするとすぐ新しい会社を作って(同じ)活動を続けることはよくあり、行政とのいたちごっこ状態が続いている」と指摘した。【阿部絢美】

マルチ商法

 米国で始まったマルチレベルマーケティング(多階層販売方式)の略。物品やサービスを販売する際、新たに会員を勧誘すると安く買えたり紹介料が得られたりするなどとして会員を次々に誘うビジネスで、紹介料を主な収益とするケースが多い。強引な勧誘や事実と異なる説明をするなど悪質なものは、特定商取引法で規制されている。

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