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「トー横」行った娘は性被害に 母「どうすれば良かったのか」


 中学校を休みがちだった12歳の長女は1年前、初めて一人で東京都の新宿・歌舞伎町の「トー横」に行き、性被害に遭った。「親として子どもを守れなかった。どうすれば良かったのか」。事件後、施設に入所した娘と離れて暮らす女性(32)=横浜市=の後悔は消えない。

 女性は会社員として働きながら、一人で娘2人を育てていた。2022年9月5日夜、長女はトー横で出会った少年から性的暴行を受け、動画を撮られた。後に性感染症をうつされていたことも分かった。

 トー横は歌舞伎町の新宿東宝ビル周辺のエリアを指す。家庭や学校に居場所がない子どもらが集まり、「トー横キッズ」と呼ばれる。飲酒や暴力、市販薬の過剰摂取で救急搬送されるなどのトラブルが相次ぎ、問題になっている。

 事件当日の正午ごろ、女性は職場からいったん帰宅し、長女がいるのを確認した。女性は再び外出し、長女は中学校に寄って先生に「トー横に行く」と伝えた後、行方が分からなくなった。学校から連絡を受けた女性はすぐに警察に通報した。翌日、「保護した」と電話で連絡を受け、安堵(あんど)感からその場で泣き崩れた。

 女性によると、長女はトー横で出会った若者数人とその場で飲酒や喫煙をした後、その中にいた16歳の少年に近くの漫画喫茶やホテルに連れ込まれ、暴力を振るわれ、性行為を強いられた。家から持ち出していた12万円を奪われ、売春するよう指示された。少年とはぐれ、トー横に戻ったところを補導されたという。警察から、加害者の少年は別の事件で逮捕され、押収されたスマートフォンから娘が写った写真や動画が見つかったと知らされた。

 事件前、女性は長女が使う携帯電話の利用状況をこまめにチェックしており、SNS(ネット交流サービス)の検索履歴などからトー横に関心を持っているのは知っていた。また、中学生になってから学校を休みがちで、平日の昼間は家で独りで過ごすことが多くなっており「日中に何をしているのか心配していた」という。そんな中、事件が起きた。

 長女は児童相談所に一時保護され、今は児童自立支援施設で暮らしている。毎月1回、面会のために女性が施設に足を運ぶ。女性は「娘を守れなかった自分に憤りを感じる」と、今も自分を責め続けている。

相談先悩む保護者たち

 歌舞伎町の公益社団法人「日本駆け込み寺」によると、トー横に集まる未成年らについて、保護者から「子どもが家出した。歌舞伎町にいないか」「大切に育てたのにどうしてこうなったのか」などといった相談が多数寄せられている。また、支払い能力を超える高額料金を請求して借金を背負わせる「悪質ホストクラブ」の客として狙われたり、売春を強制されたりするトラブルも起きており、親から相談を受けた法人のスタッフが親子の話し合いに立ち会うこともあるという。

 トー横対策を進める都では7月、有識者らでつくる都青少年問題協議会が必要な対策をまとめ、小池百合子知事に答申した。実態把握や子どもが気軽に使える相談窓口の必要性などを指摘。その上で「自らの子どもに問題が生じた際の適切な相談先が十分に周知されているとはいえず、保護者は手探りで相談先を探している」として、保護者向けの対策の充実を求めた。都は警視庁や新宿区の担当者による連絡会を発足させ、具体策の検討を進めている。【一宮俊介】

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