液化石油ガス（LPG）大手の岩谷産業は1日、村上世彰（よしあき）氏が関わる投資会社などから、石油元売り大手コスモエネルギーホールディングス（HD）の株式19・86％を同日付で取得したと発表した。取得額は1053億円。村上氏側とコスモHDは経営方針を巡って対立していたが、村上氏側は保有するほぼ全てのコスモHD株を手放した。
岩谷産業は、LPGや液化天然ガス（LNG）の販売などでコスモと取引があるほか、水素分野で合同会社を設立するなど協業も進めている。
株取得は、連携を深めるのが狙い。独占禁止法の審査で問題がなければ、村上氏側からコスモHD株を追加取得する方針で、最終的な保有比率は20・22％となる見込みだ。
コスモHDの大株主だった村上氏側は、同社に製油所の再編や閉鎖、再生可能エネルギー子会社の上場などを求め、7月には最大4・53％買い増す意向を示していた。
今回、株売却に合わせ1日付で買い付け方針も取り下げたと発表。「（岩谷産業が）コスモ社の株式を保有することで、コスモ社の更なる株主価値向上実現に向けた取り組みが加速することを期待している」とのコメントを出した。
コスモHDは村上氏側に対抗し、14日に臨時株主総会を開き買収防衛策に関する決議を株主に諮る予定だった。村上氏側が大株主ではなくなったことを受け、同社は1日、臨時株主総会を含む今後の対応について「必要な検討を進めたうえで、正式に決まり次第速やかに開示する」との方針を示した。【浅川大樹】
