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自民候補決まらぬ衆院福岡9区 党本部拒否の裏に麻生氏の意向


 前回2021年衆院選で自民党が議席を失った衆院福岡9区(北九州市八幡東区など)で、自民の候補予定者の座が宙に浮いている。福岡県連が党員投票で参院議員の大家(おおいえ)敏志氏(56)を選んでから3カ月が過ぎても、地元に影響力のある麻生太郎副総裁の意向も絡み、党本部が受け入れようとしないからだ。県連の党本部に対する不満は限界に達しつつある。

 「これ以上、大家さん以外に誰がいるのか。大家さん以外の誰かに決まっても地元は(支援)できない」

 10月27日、自民党本部の一室。「要請」と大きく書かれた封筒を茂木敏充幹事長に手渡した、9区支部長代行の松尾統章(とうしょう)県議が声を強めた。松尾氏の周りは9区内の地方議員や大家氏を支持する団体の関係者が固めた。

 茂木氏は党本部としての判断を11月中に示したい意向を伝えたが「大変難しい判断になる」とも語り、県連側が求めていた明確な回答は最後までなかった。

 県連は公認候補となる9区の支部長を決めるため、公募を実施。応募者の中から大家氏と北九州市議の三原朝利(あさと)氏(45)を選んで7月に党員投票を実施し、三原氏の約5倍となる票を得た大家氏を支部長候補に決めた。

 県連内では「この結果は誰も否定しようがない」(大家氏周辺)と、党本部も県連側の意向を早々に受け入れるだろうという淡い期待が広がっていた。

 ただ、懸念が無いわけではなかった。9区に隣接する福岡8区(同県飯塚市など)選出の麻生氏の意向だ。

 麻生氏は自らの派閥に所属する大家氏に、参院議員を続けるよう諭していたとされる。党選対本部の要綱には、参院議員任期中での衆院転出は党の要請がない限り原則認められないという規定もあり、22年参院選で3選したばかりの大家氏のくら替えは党幹部の間でも慎重論が多い。

 一方、三原氏について麻生氏は、動向を気にかけるような発言を県連幹部との会合でしていた。加えて党本部が実施した9区の情勢調査では、三原氏が大家氏よりも上回っていたといい、党本部側の決断を鈍らせている要因となっている。

 9月28日の党本部。小渕優子選対委員長と面会した県連幹部は「仮に年明けの解散だとすれば、もう3カ月しかない」と決断を迫った。小渕氏は「大家氏の派閥の領袖(りょうしゅう)の麻生氏とも(県連側の意向を)共有する」と明言を避けた。

 ある自民関係者は「茂木氏でさえ麻生氏の意をくんで決められずにいるのに、それを小渕氏が決めるというのは、なかなか難しいのでは」とみる。

 党本部が決断に踏み切らない状況が続く中、大家、三原両氏とも自らの正統性を訴えるかのように地元での活動を活発化している。

 大家氏は街頭活動を繰り返しながら「外堀を埋める」(関係者)かのように400以上の企業・団体から推薦を獲得。三原氏も無所属で立候補する意向を示しながらも「私としては、とにかく党の判断を待ちたい」と、つじ立ちや支援者へのあいさつ回りを重ねる。

 ついには両氏を無所属で戦わせ、勝った方を追加公認する案や、第三の有力候補を擁立・支援する案まで党内で浮上。ただ、「どの選択肢でも(非自民系の現職に)勝てないかもしれない」(県内の地方議員)との悲観論も漏れる。

 10月10日、北九州市八幡西区のホテルで開かれた大家氏の集会。「この3カ月間、何も党本部は決めきれない。断じて許されない状況だ」(松尾県議)と党本部批判が公然と飛び出すのが、既に当たり前の状況と化している。

 公明党が候補を立てる選挙区を除き、自民の公認候補予定者が「空席」なのは福岡9区と隣の10区(北九州市小倉北区など)を含め、全国で3カ所のみ。衆院解散の可能性が消えきらない中、怒りと戸惑いの渦が巻き起こる9区を前に、麻生氏は周辺にこう語っているという。

 「俺は(決定に関与)せんぞ」「俺が悪者になるもんな」【野間口陽】

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