失言の“おわび”として開催します――。愛媛県の特産品「じゃこ天」を「貧乏くさい」と酷評した秋田県の佐竹敬久知事の意向をくんで、四国4県と秋田県が15日、東京都内で合同物産展を開くことになった。当日は佐竹知事も参加。じゃこ天をPRするとともに、関係者らに謝罪する予定という。佐竹知事の失言を機にじゃこ天は「全国区」となり、売り上げもアップ。これまでPRに取り組んできた愛媛県の担当者は、戸惑いつつも「鯛めしやかんきつ類に比べて注目度が低かったのでプラスになった」と思わぬ反響に喜んでいる。
佐竹知事は10月23日、秋田市での講演で、全国知事会で訪れた四国の料理について酷評。じゃこ天を「貧乏くさい」、高知県で水揚げされる魚「どろめ」を「あのうまくないやつ」と表現した。その後、謝罪に追い込まれた。秋田県によると、7日現在、「バカにするとは何事だ」「県民としてはずかしい」など、県内外から計653件の抗議の電話やメールが殺到している。一方、愛媛県には「知事の狭い視野が情けない」「四国にぜひ行ってみたい。じゃこ天はどこで買えるか」など20件以上の励ましのメールや電話が寄せられているという。
愛媛県内の販売業者や東京のアンテナショップなどには問い合わせが相次いでいる。
「東雲かまぼこ」（松山市）でも失言を機に多くの観光客が来店。インターネットや電話での注文も殺到し、売り上げは失言前の約2倍に。「じゃこ天を初めて知った」という客や、「知事が迷惑をおかけしました」と謝りながら購入する秋田県からの客もいたという。現在も生産が追いつかず多忙な状態が続く。従業員の堀本彩さん（37）は「当初は気分を害したが、思わぬ宣伝効果で知事に感謝している。この状態が続いてほしい」と期待する。同店でじゃこ天を購入した地元出身の女子大学生（21）は「きっかけは悪かったが、注目度が高まってうれしい」と喜んでいた。
秋田県によると、佐竹知事は四国4県に謝罪の書簡を送り、それを受けて徳島県の呼びかけで物産展の開催が決まったという。当日は東京交通会館（東京都千代田区）で午後0時半～3時。じゃこ天など各県の特産品の詰め合わせセット（限定50セット、3500円程度）を販売予定で、愛媛県関係者は「ぜひ佐竹知事にも買ってほしい」と話す。問い合わせは同県東京事務所産業振興部（03・5212・9071）。【広瀬晃子】
