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「大麻拡散に目つぶった」 日大アメフト部の薬物問題巡り報告書公表


 日本大は31日、アメリカンフットボール部の薬物事件を巡り、日大側の対応を検証していた第三者委員会(委員長=綿引万里子・元名古屋高裁長官)の調査報告書をホームページで公表した。一連の大学の対応について、「得られた情報を都合よく解釈し、自己を正当化する不適切な基本姿勢」があったと指摘。日大幹部らが目先の責任追及を避けることにこだわり「大麻が拡散しているリスクに目をつぶった」と批判した。

 事件を巡っては8月、部の学生寮で大麻などを所持したとして警視庁が部員1人を逮捕。日大は当初「1人の学生の不祥事」(林真理子理事長)と説明したが、10月に別の部員も密売人から大麻を購入した疑いで逮捕され、警視庁は部内で違法薬物がまん延していた可能性があるとみている。

 第三者委は文部科学省の指導を受け設置。綿引氏ら弁護士3人が8月下旬から関係者へのヒアリングをもとに調査し、日大が今月30日に報告書を同省に提出した。

 報告書は「自己を正当化する」という基本姿勢で問題に対応したことにより不適切な行為が重ねられたと批判。大学幹部らが目先の対応に終始し、「最終的な信頼の回復」が危機管理の最大の目標であることを理解していないと批判した。

 部員の大麻使用を疑う情報は昨年10月29日に保護者から寄せられたが、名前の挙がった部員が使用を否定したことで、指導陣は「事実は認められない」と結論づけた。同11月27日には部員1人が自身や先輩7人の大麻使用を申告したが、指導陣は、部OBの警察関係者の助言を根拠に厳重注意にとどめた。こうした経緯について、報道機関に説明を求められることもあったが、「大麻を吸った事実はない」などと答えてきた。

 事態が明るみに出た8月2日には、林氏が報道各社の取材に「違法な薬物が見つかったとか、そういうことは一切ない」とコメントしたほか、同8日の記者会見では、競技スポーツ担当副学長の沢田康広氏が複数の部員が関与した可能性について「把握していない」と発言。報告書はこうしたメディア対応について、追及を受けることを避けるため、大学幹部らが「時には虚偽と評価される報道対応をし、リスクにも目をつぶってきた」と非難した。

 第三者委は危機管理の甘さも指摘。今年6月には寮内に「大麻部屋」があることを疑う情報提供が警察からあり、沢田氏が7月6日に荷物検査などで後に大麻と分かる植物片を発見したのに、警察への連絡まで12日を要した。

 沢田氏は、記者会見で学生に自首を説得する「教育的配慮」のためなどと説明したが、第三者委は、植物片の保管は大学トップ層による証拠の隠蔽(いんぺい)や大麻所持罪の疑惑を持たれかねない行動だと指摘。「世の中の常識からは乖離(かいり)した独自の判断基準」と批判し「法人の信用を失墜させた最大の原因」と指弾した。

 部員の逮捕を機にアメフト部に科した無期限活動停止処分を5日間で解除した判断についても言及。解除を決めた8月10日の幹部会議の時点で、複数部員の関与が疑われる情報を得ていたにもかかわらず、それらを沢田氏が説明せず、「結果的に出席者の判断を誤らせた」と結論づけた。

 盛山正仁文科相は第三者委からの報告について、31日の閣議後記者会見で日大に対し「改善計画の作成や関係者の責任の所在の明確化を速やかに進めていただきたい」と指摘。日大も対応の問題を指摘された関係者を処分するとしている。【李英浩、朝比奈由佳】

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