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無罪の運転手「検察側は被害弁償を」 赤信号無視のバイクと衝突


 交差点を車で右折中に安全確認を怠り、対向車線を赤信号で直進してきたバイクとぶつかったとして、自動車運転処罰法違反(過失致傷)などに問われたナイジェリア国籍の男性被告(53)=福岡県古賀市=に無罪を言い渡した27日の福岡地裁判決。検察側はバイク側を「被害者」として起訴したが、地裁は「事故はバイク側のほぼ一方的な過失によって生じた」と判断した。男性被告は判決後、「1年半の間、ジャスティス(正義)を求めてきた。認められてうれしい」と語った。

 「被告人は無罪」。27日午後、地裁の912号法廷で今泉裕登裁判長が判決主文を読み上げた。閉廷後、弁護人が「良かったね」と語りかけると、男性被告は「うん」と答えた。表情は終始、真顔のままだった。

 事故は2021年10月に古賀市の国道3号で起きた。普通乗用車を運転していた男性は交差点を右折しようとした際に対向車線を直進してきたバイクと衝突。バイクの運転者は足を骨折するなどした。男性の認識では、バイク側が赤信号を無視しており、「自分は被害者」と思っていた。

 だが、捜査当局の結論は違った。男性が「安全を十分に確認しなかった」ために事故を招いたとして略式起訴され、罰金30万円を納めるよう自宅に書面が届いた。「相手が赤信号を無視したから衝突したのに、なぜ……。自分は悪くない」と納得できなかった。

 22年5月から1年以上にわたって続いた公判で、男性は「私は加害者ではない。被害者だ」と一貫して無罪を主張した。27日の判決は「赤信号で交差点に進入するような車両があることまで予測して、安全を確認すべき注意義務はない」と、男性側の主張を全面的に認め、無罪と結論づけた。

 男性は20年以上前に米軍の仕事で来日した。妻と3人の子どもがおり、現在は倉庫作業のアルバイトで月約25万円程度の収入を得ている。仕事の内容はフォークリフトで荷物を運ぶため運転免許は必須だった。だが、事故後の22年2月から1カ月間、運転免許の停止処分を受けたため、長期休暇を取得して仕事を休まざるを得なかった。その後も公判が開かれる度に出廷のため仕事を休む必要があり、収入が減ることもあった。

 男性は「(無罪判決に)感謝の気持ちでいっぱいです」とする一方で、「検察側は当初、バイクが赤信号を無視していたことを見落としたまま私を起訴した。起訴前の取り調べで何度も『相手が赤信号を無視してきた』と話したのに聞く耳を持たなかった。『外国人は悪い』と思い込んで、ちゃんと捜査してくれなかった。ひどいし、悲しい。これまでに受けた被害を弁償してほしい」と訴えた。

 男性の弁護人は「捜査段階でバイクの信号無視が明らかになっていれば、不起訴となっていたはずの事案だ。普通の感覚に従った至極、正当な判決だ」と語った。

 捜査関係者によると、赤信号を無視していたバイクの運転者は、刑事処分を一切受けていないという。【志村一也】

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