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無名の県立高が甲子園初出場から5年 「下剋上」で盛り上げろ 


 2018年の夏、無名の県立高ながら甲子園初出場を果たした三重県立白山高校野球部。その活躍を描いたノンフィクション「下剋(こく)上球児」が原案のドラマがTBS系の日曜劇場で放送が始まった。「日本一の下克上」と脚光を浴びた夏から5年がたち、山あいの町は今――。【下村恵美】

 白山高校前にある弁当店「ぶんてん」では、白山高の生徒5人がメニューや盛り付けを考えた「下剋上弁当」の販売を10月から開始した。看板商品の唐揚げやエビフライなどボリューム満点で、1個800円(税込み)。ご飯の上に「下剋上」と書いたノリを乗せた。

 店主の鈴木伸章さん(32)は8月、ドラマが放映されると聞き、ノリで「下剋上」という文字を入れた弁当を思いつき、業者にノリの発注をかけた。飲食業を学ぶため、店でインターンシップ中の生徒に商品開発を学んでもらおうと、予算に合わせたおかず選びを任せた。3年生の稲垣絆さん(18)と津田舞佳さん(17)は「自分たちが好きなものを選んだら揚げ物がメインになったけど、だし巻き卵がおすすめ」と話す。

 弁当は店の他にも、予約すれば、地元にあるJAの直売所「ぬくいの郷」で購入できる。「あぐりネット三重中央」でも販売を始める予定だ。鈴木さんは「ドラマを見て原作に関心を持ってくれた人が白山に来て、食べてくれたらうれしい」と期待する。

 白山高野球部が18年の夏に県大会で繰り広げた快進撃を知る、家城自治協議会の中西義照会長(68)は、「白山から甲子園にバス50台くらいで応援に行った」と振り返る。地域の家を回って寄付金を募ると、住民は快く応じてくれた。「あの夏は、県大会から勝ち上がる姿が楽しみだった。地元を盛り上げようとする若い人たちを応援したい」と見守る。

 鈴木さんとは幼なじみで、地元でプロパンガス販売店を営む竹田悠人さん(32)も、ドラマの放送で原作が脚光を浴びることを期待する。2人とも5年前は県外に出ていて、甲子園出場当時の盛り上がりを知らないが、母校の野球部が取材を受ける様子をテレビで見て「地元を誇りに感じた」と振り返る。竹田さんは昨年、津市白山町にUターンしたが、新型コロナウイルス禍が終わった後も地域に元気が戻らないと感じていた。

 「どうやったら地域ににぎわいが生まれるか」と思案していた時、ドラマの放送を知り原案の出版社「カンゼン」に相談。22日、白山総合文化センターであるイベント「ふれ愛フェスタ」に著者の菊地高弘さんを招き、サイン会を開いた。

 甲子園出場時の白山高校野球部監督、東拓司さん(45)は現在、県立昴学園高(大台町茂原)の監督を務める。「本はノンフィクションなので、あのまんまです。部員不足で悩む全国の指導者や生徒に勇気を与えられたと思う」と語る。

 白山高の快進撃を「下剋上球児」で描いた菊地さんは、「たとえ自分に自信がない人でも、できることをひとつひとつやっていけば、信じられないことが起きる。そんなロマンを感じてほしい」と話す。盛り上がる白山町に、「(白山町で)『聖地巡礼』をしてほしい。そして、地域のみなさんが白山町を訪れた人に魅力を伝えてほしい。地域を盛り上げたいとアクティブに活動される方がいることこそ、一番の希望だと感じます」と応援している。

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