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緊急電話「ハマスが職場を襲撃」 女性はその後、行方不明に


 ガザに隣接し、イスラム組織ハマスから激しい攻撃を受けているイスラエル南部。7日午後、記者が入るとロケット弾の被害を受け、複数の町で黒々とした煙が立ち上っていた。ハマスの戦闘員数百人が侵入して銃撃を続けていることもあり、外出している人はほとんど見当たらず、「戦場」にしては奇妙なほど静まりかえっている。

 南部の都市アシュケロンの病院は、負傷した市民や兵士、そしてその家族であふれかえっていた。アシュケロンに住む男性(40)は病院の入り口前で、行方不明となった交際相手の妹の情報を求めていた。この女性は同市の郊外に住む救急隊員で、7日朝は職場にいた。だがハマスの戦闘員が突然、職場を襲ってきたという。

 女性は電話で「テロリストが私たちを包囲し、銃撃してきた」と急を知らせてきたが、その後、何度鳴らしても電話はつながらない。地元では複数の住民がガザに「人質」として連れていかれたと報じられている。男性は「彼女は人質になったのか、死んだのか、それとも生きているのか。何も情報がない」とうめいた。

 病院で診療を待っていたマリア・コーガンさん(50)は、ロケット弾が隣家に直撃し、自宅のガラスが割れて側頭部を負傷したという。「南部に長年住んでいるが、ハマスがこれだけ多くのロケット弾を短時間に発射してきたのは初めて」。コーガンさんは、イスラエル軍に「できる限り激しく」ハマスを攻撃してもらうことを望んでいる。「我々はパレスチナ人と平和を築きたい。でもそれ以上に我々は生きることを望んでいます。本当の安全保障が必要なんです」

 イスラエルはこれまで軍事力でハマスを圧倒しており、イスラエル側で一度に250人以上が殺害されるのは異例の事態だ。それだけにイスラエル社会にとって衝撃は大きく、市民のハマスへの処罰感情は高まっている。

 ネタニヤフ首相は7日夜、「我々は(ハマスとの)長く、難しい戦争を始めた」と述べ、ハマスの軍事と行政の拠点を「破壊する」までは戦闘を続けると宣言した。イスラエル軍はガザに対し、7日夜だけで400カ所以上の空爆を実施したと発表。イスラエル軍は南部に潜むハマス戦闘員の「排除」を優先しており、南部の治安を回復させた後、ガザへの地上侵攻を始めるとみられている。

 ただイスラエル側の課題は多い。ガザには約100人に上る民間人や兵士が拉致されて「人質」となっており、その身柄の安全を確保しながらハマスと戦うのは容易ではない。

 さらに国際社会、特にアラブ諸国の反応も重要だ。イスラエルのネタニヤフ政権は2020年、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、スーダン、モロッコのアラブ4カ国との国交正常化を実現した。現在はさらにアラブの「盟主」であるサウジアラビアとの国交正常化を最大の目標に掲げる。サウジとの和平が実現すれば、他のイスラム諸国との関係改善も期待できるためだ。だがガザで地上侵攻を実施し、多くの民間人が犠牲になれば、アラブ諸国からの強い反発は避けられず、サウジとの交渉が振り出しに戻る可能性もある。

 今回の戦闘はハマスが攻撃を仕掛けたため、国際社会ではイスラエルを支持する声が多い。ただ、ガザの被害者数が今後増えれば、停戦への圧力は強まることになる。ネタニヤフ氏は国内外の反応を注視し、バランスを取りながらハマスとの戦いを続けることになりそうだ。【イスラエル南部アシュケロンで三木幸治】

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