パレスチナ自治区ガザ地区を支配するイスラム組織ハマスが7日朝に開始したイスラエルとの戦闘で、同日夜までに双方の死者が合わせて480人超となった。イスラエル側の死者は250人に達し、2007年以降のハマスとの戦闘では最多。ガザ側の死者は232人という。越境したハマスの戦闘員がイスラエルから多数の民間人や兵士を人質としてガザに連れ去っており、今後、イスラエルは過去に拘束したパレスチナ人との「交換」を求めるとみられる。イスラエルは同時に、ガザへの地上侵攻の準備も進めている。
イスラエルメディアによると、イスラエルとガザの境界を破り、イスラエル側に入ったハマスの戦闘員は数百人とみられる。多くの戦闘員はイスラエル兵に殺害されたが、一部は人質を連れてガザに戻った。また、少数の戦闘員がイスラエル南部の警察庁舎や民家に立てこもり、イスラエル兵との交戦を続けている。
地元メディアによると、イスラエル南部スデロトでは多くの民間人が殺害され、遺体が路上に放置されたという。ハマスはロケット弾攻撃も継続しており、ガザから約100キロ離れたイスラエル中部の商都テルアビブにも着弾し、数人の負傷者が出た。一方、イスラエル軍は報復として、ガザに対する空爆を実施。ハマスが諜報(ちょうほう)活動や武器製造の拠点としていたとして、4棟の高層住宅を破壊するなどしており、民間人も被害に遭っている模様だ。
イスラエルのネタニヤフ首相は7日夜、今回の戦闘被害は、イスラエルにとって「前例がない」規模だと強調。イスラエル軍は全ての力を使ってハマスの軍事力を破壊し、「この暗黒の日の復讐(ふくしゅう)をする」と述べた。既に多くの戦車をガザ周辺に配置しており、ガザで2000人以上が死亡した14年の戦闘以来となる地上侵攻の準備を進めている。
一方、ハマス政治局のアロウリ副代表は7日、中東の衛星テレビ「アルジャジーラ」に対し、イスラエルによるガザ封鎖が続く中、「(ハマスには)戦うしか選択肢がなかった」と語り、「紛争のあらゆる局面に対応する準備はできている」と述べた。【エルサレム三木幸治】