米軍普天間飛行場（沖縄県宜野湾市）の名護市辺野古への移設計画を巡り、国土交通省は6日、工事に必要な設計変更を沖縄県に代わって承認する代執行に向けた裁判の訴状を公表した。訴状では、承認を拒み続ける玉城デニー知事の姿勢を「違法かつ異常な事務遂行」と批判。5日に提訴した福岡高裁那覇支部に対し、今月20日までに開かれる口頭弁論で即日結審させ、速やかに判決を出すよう求めた。
知事は6日、「沖縄県としては、訴状の内容を精査した上で、対応を検討する」とのコメントを出した。
代執行は地方自治法上の手続きで、国が都道府県に事務を委ねている「法定受託事務」の管理や執行を知事が怠った場合などに、担当相が知事に代わって是正する措置。今回は、斉藤鉄夫国交相が玉城知事に対し、軟弱地盤の改良工事開始に必要な設計変更の承認を求めて提訴した。
設計変更は、防衛省が2020年に沖縄県に申請した。知事はこれを承認せず、国は不承認を取り消して県に是正を指示したことから法廷闘争に発展。9月4日の最高裁判決で県は敗訴し、県の承認する義務が確定した。
国の訴状では、最高裁で敗訴が確定しても承認しない知事の対応を「著しく公益を害することが明らか」と指摘し、代執行が認められる要件を満たしていると主張した。当初の設計変更申請から3年以上たっても承認されておらず、「知事の違法かつ異常な事務遂行が許される余地は全くない」と批判した。
また、知事が承認しないことで「普天間飛行場の周辺住民の危険を除去できない」「日米間の信頼や同盟にも悪影響を及ぼしかねない」と主張。「極めて公益性の高い工事の進捗（しんちょく）が妨げられている」として、速やかな判決を求めた。【内橋寿明】
