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千葉で絶滅とされた巻き貝「ウツセミガイ」 館山湾で見つかる


 長らく採集された記録や証拠がなく、千葉県内では絶滅したとされてきた巻き貝「ウツセミガイ」が2022年3月、館山湾で見つかったことが明らかになった。県立中央博物館分館「海の博物館」(勝浦市)の立川浩之・主任上席研究員(63)は「全国的にも希少で、県内で見ることができたらラッキーだと思っていた。今後、県のレッドデータブックの絶滅の区分から変わる可能性がある」と話している。

 ウツセミガイが見つかったのは、2022年3月2日。お茶の水女子大湾岸生物教育研究所(館山市)の吉田隆太博士らが研究のため、館山湾で船を使って水深14~23・5メートルの砂底を調査。採取した生物の中に、見慣れない複数の貝が混じっているのに気付いた。

 同館に持ち込まれた見慣れない貝の一つは、飼育室の作業台に置かれた1リットルの海水の入った円柱の蓋(ふた)付きの瓶に入れられた。立川さんが中をのぞくと、大きな殻を背負った茶色の貝が視界に飛び込んできた。

 「これか……。独特な形からほぼ間違いない」と思いつつ、専門家に聞いたり、資料と照らし合わせたりして、最終的にウツセミガイと確認した。

 立川さんによると、今回見つかったウツセミガイは1個体。誰にも見つからずに細々と生き残っていたか、伊豆半島など他の海域で生息していた個体がプランクトンの時に海流に乗ってやってきたことが考えられるという。

 しかし、成長している個体が見つかったことから、館山湾には生育するための条件が備わっていると考えられるといい、今後も継続的に調査を進める。立川さんは「今回は名前がすぐに分かったが、千葉の海には名前も分からない種類の生物がたくさんいる。少しずつ解明できたら」と話す。

 レッドデータブックやレッドリストは絶滅の可能性がある野生生物の情報をまとめたもので、国際自然保護連合(IUCN)や環境省などがそれぞれ作成している。県のレッドデータブックでは消息不明・絶滅生物(X)など複数のカテゴリーに分けられている。ウツセミガイは「房総半島以南に分布する」とされていたが、2011年に約50年間採集の記録が確認されていないことから改訂した同ブックで、絶滅生物と評価された。

 同館では11月5日まで、今回見つかったウツセミガイの標本や写真、9月に論文が掲載された学術雑誌を展示している。開館時間は午前9時~午後4時半(入館は午後4時)。【長沼辰哉】

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