台湾の消防当局によると、南部・屏東（へいとう）県のゴルフ用品工場で22日夕、爆発を伴う火災が発生し、救助活動に当たっていた消防士3人と工場の従業員3人が死亡した。消防関係者ら約100人が負傷。消防士1人を含む4人の行方がわかっておらず、捜索活動を進めている。
屏東県政府によると、22日午後5時半ごろ、工場で火災が発生したとの通報があった。約10分後に地元消防局の消防士らが現場に到着し、うち11人が建物内に取り残された人を救助するため中に入ろうとした際に小さな爆発が起きた。いったん外に出ようとした直後に今度は大きな爆発があり、建物が崩壊したという。
消防隊は工場側からの情報で、水と反応して爆発を引き起こす恐れのある過酸化物が工場内にあることを確認していたため、放水は避けて乾燥粉末を使った消火器を携帯していた。検察が爆発の原因を調べているほか、台湾政府も調査チームを発足させる。
台湾メディアによると、工場では海外有名ブランドのゴルフボールを製造しており、2022年には世界の生産量の約2割に当たる2180万ダースを製造した。現場は「屏東科技産業園区」と呼ばれる工業団地内で、近くには工場が建ち並ぶ。約600メートル離れた小学校の窓ガラスが割れるほど爆発の衝撃は大きく、その後もたびたび爆発音が響くなどし、救助活動は難航した。
蔡英文総統は23日、現場を訪れ、遺族らを慰問した。【台北・林哲平】
