米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は21日、ロシアへの反転攻勢を強めるウクライナ軍が南部ザポロジエ州ベルボベで、ロシア軍が築いた主要防衛線の一部を突破したと伝えた。コンクリートブロックなどの障害物を乗り越え、装甲車の通行が可能になったという。ただ今回の防衛線の突破口は小さく、ロシア軍も砲撃で激しく抵抗しており、ウクライナ側に多くの死傷者が出ているという。
ウクライナ軍は、ベルボベを突破してアゾフ海に向かって南下し、ロシア本土とクリミア半島を結ぶロシア側の支配地域を東西に分断することが狙いとみられる。アゾフ海まで到達できなくても、進軍を続けることで「ロシアの補給ラインを攻撃できる」(同紙)ため、ロシア軍の展開が手薄な地域に攻め込むことが可能になるという。
ウクライナ軍は6月上旬に反転攻勢を開始。ロシアが築いた複数の防衛線の突破を試みたが、初期の攻撃は地雷原などに阻まれた。だがウクライナ側は8月末、防衛線の一端があるザポロジエ州ロボティネを奪還したと発表。その後、ウクライナ軍はロボティネの東にあるベルボベ付近まで進軍していた。【ロンドン篠田航一】