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水害を繰り返す千葉・茂原 なぜ防げない…県と市に認識のズレ


 台風13号の大雨により千葉県内各地で浸水などの被害が出てから15日で1週間となった。中でも被害が大きかった茂原市を流れる一宮川流域では、これまでも度々、大きな浸水被害が発生し、改修工事が進められてきた。それでも、今回も床上・床下浸水被害を防ぐことはできなかった。県と市のトップで被害拡大について考え方に食い違いが見られる場面もあった。【長沼辰哉】

これまでの水害と対策

 県によると、15日午後4時のまとめで、今回の台風13号に伴う大雨の影響で同市内の788棟が床上・床下浸水した。住民によると、2019年の水害の時よりも水位は低かったが、水が引くまでに時間がかかり、浸水被害から10時間以上たった8日の夜遅くになっても、水位が膝上だった場所もあったという。

 一宮川改修事務所などによると、同市街地付近の中流域は、川の流れが緩くなる上、五つの支流が合流することから特に氾濫しやすい地理的要因があるという。このため、市内では度々、水害が発生していた。13年の水害後にも堤防を一部拡幅する改修工事が施されたが、工事が完了する前に襲った19年の台風21号の影響で被害が広がった。

 その後始まった県の特別緊急事業では、川の水が流れる道筋の拡幅や堤防整備、調節池の増設などを実施し、現在も進行中だ。中下流域の整備は24年度末までの完成を目指している。19年と同規模の降雨量でも流域の家屋や主要施設の浸水ゼロを目標にしており、29年度までに実現したいとしている。

 具体的には、市内にある第2調節池は元々の70万立方メートルの貯水機能に加え、新たに40万立方メートルの増設を進めており、同市の市街地付近を流れる4キロの区間は、護岸ののり面を整備して流れる水量が増えても対応できるようにしていく。これらを既に暫定供用している部分もあり、同事務所は今回の大雨でも「一定の効果があった」としている。

 市は13年の水害を受け、管理する支流の対策として排水機場や水門など大規模施設を新設してきており、22年までにいずれも完成している。市側としては、県の進める工事完了を待つばかりだ。

県と市で食い違い

 一方で県としては急ピッチで工事を進めることができない理由がある。同事務所は「一部区間だけをかさ上げすると、工事をしていない下流域に被害が移行してしまう。河川全体を管理する立場として(中流域を優先して工事をするのは)難しい」と説明する。

 こうした事情を背景に、大雨被害の翌9日に現地を視察した熊谷俊人知事と田中豊彦市長の反応には食い違いが見られた。報道陣から「被災した住民からどのような話があったか」と問われた熊谷氏は「住民それぞれの感覚もあるが、4年前と比較して浸水した高さが低い。これまでの対策事業に一定の効果があった」と述べた。これに対し、田中氏は「これまで目に見える形で(堤防の)かさ上げをやってもらいたいと言ってきた。県ができないのであれば、市側で(工事を)やる用意がある」と訴えた。さらに「本当は1メートルくらい、(堤防を)かさ上げしてくれると、もうちょっと防げたのかなと個人的に思った。それがなかなかかなわなかったのでショックで……」と言葉を詰まらせる場面もあった。

 最近は大雨が頻発し、激甚化する傾向にある。県の担当者は「今後は流域全体の関係者が協力して取り組む必要がある。具体的には田んぼダムや浸透対策など、官民でプロジェクトを進めていきたい」としている。

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