東京都足立区は自転車盗難を減らすため、ちょっと変わった作戦を開始する。無施錠が盗難の原因と見た区は、自転車に鍵をかけた区内の高校生にドリンクが値引きされるクーポン券を配ると発表した。区の奇策は盗難発生件数を“割り引く”ことができるか。
区によると、昨年の刑法犯認知件数のうち自転車盗は1059件で約3割を占めた。その被害者の約半数が10～20代だったという。中でも16～18歳が多く、区の担当者は「なんとか若者の盗難被害を減らしたい」とアイデアを練った。そして、自転車盗防止の第一歩である鍵をかける習慣がある高校生に、「ありがとう」の気持ちを伝えることで鍵をかける習慣を広げようと考えた。鍵をかけている若者にはマクドナルドで使用できるクーポンを渡すという。
実施予定は11月。事前に日程を知らせず、「抜き打ち」で区内の都立高校9校を放課後に職員が訪ね、学校の駐輪場で自転車にきちんと鍵をかけていた高校生に声をかけ、クーポンを渡すという。
クーポンは区内17店舗のマクドナルドで使用でき、ドリンクMサイズが100円で購入できる。使用は1枚につき1度限り。区は約6000枚を用意する予定で、2023年度一般会計補正予算案にクーポンカード作成費用5万5000円を計上する。
11日に記者会見した近藤弥生区長は「鍵をかけるのを癖にしてね、という思いを込めてクーポンを渡したい」と話した。【南茂芽育】
