星野リゾートは14日、国の重要文化財「旧奈良監獄」（奈良市）を活用したホテルについて、同社の高級ブランド「星のや」を冠して2026年春に開業すると発表した。所有権を国に残したまま運営権を民間に売却するコンセッション方式が採用されており、刑務所だった施設をホテルとして開業する試みは全国で初めて。
ホテルの名称は「星のや奈良監獄」。客室数は48室で、複数の独居房をまとめて一つの部屋に改修する。敷地内ではレストランや旧奈良監獄の歴史を伝えるミュージアムの整備も検討されている。
旧奈良監獄は明治政府が計画した「五大監獄」の一つで、1908（明治41）年に完成。赤レンガ造りの建物のデザインや歴史的価値が評価され、2017年に国の重要文化財となった。監視をしやすいように、建物は中央の看守所から五つの収容棟が放射状に並ぶ造りになっている。
長年にわたって少年刑務所として使われてきたが、老朽化などのため17年に閉鎖。耐震工事を施し、高級ホテルとして活用する準備が進められていた。当初は21年に開業する予定だったが、改装計画や運営に関する協議に時間がかかった。
星野リゾートは温泉旅館「界」や都市観光ホテル「OMO（おも）」など複数のブランドを展開。その中でも「星のや」は最高級ブランドに位置付けられ、東京や京都、沖縄、台湾などで8施設を運営している。【小坂剛志】
