ロシアの首都モスクワや極東サハリン州の州都ユジノサハリンスクで3日、対日戦勝記念日に当たる「軍国主義日本への勝利と第二次大戦終結の日」を記念する集会が催された。従来は「第二次大戦終結の日」と呼んでいたが、ロシア政府はウクライナでの「特別軍事作戦」の開始による対日関係の悪化に伴い、今年6月に名称を変更した。
タス通信によると、ユジノサハリンスクの集会には、安全保障会議副議長のメドベージェフ前大統領が出席した。自衛隊が北方領土から遠くない地域で演習しているなどとして、日本が「アジア太平洋地域の状況を大変に複雑にさせている」と主張。「痛ましいことに日本の政権は新たな軍国主義へ導いている」と批判した。
モスクワの集会は「体制内野党」と位置づけられている共産党が主催した。同党所属の男性、セルゲイさん(47)は「日本が対露制裁を科したこともあり、(記念日の)名称の変更は重要だ」と主張。別の参加男性、ゲルゲーニさん(35)は「祖先の体験を共有するためにも重要な日だ」と述べた一方、名称変更は知らなかったという。
ロシアの対日戦勝記念日の日にちと名称はソ連時代以来、度々変更されてきた。ソ連時代の法律では9月3日を戦勝記念日の一つに定めていたが、その後に抹消。ロシア国内の愛国主義の高まりを受け、2010年に同2日を「第二次大戦終結の日」に設定したが、20年になってその日付を同3日に戻していた。
日本は1945年9月2日、米戦艦ミズーリ上で第二次大戦の降伏文書に調印した。ソ連では翌3日に祝福したことから、この日を対日戦勝記念日と位置づけた経緯がある。【モスクワ大前仁】