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ロシアの高校教科書、ウクライナ侵攻を正当化 9月の新学期から使用


 ロシアでは新学期が始まる9月から、17~18歳の11年生(日本の高校生に相当)向けに、ウクライナ侵攻を正当化する内容を含む新たな国定歴史教科書が使用される。現代史を学ぶこの教科書ではソ連末期の政治・社会改革「ペレストロイカ」(立て直し)を批判するなど、プーチン政権の歴史観が色濃く反映され、教育への統制強化を露呈している。

 「私たちの仕事は現代史について分かりやすく、論証しながら伝えることだ」。プーチン大統領の側近で、教科書の監修と執筆に携わったメジンスキー大統領補佐官は8月上旬、記者会見でこう語った。タス通信によると、執筆陣にはエリート養成校であるモスクワ国際関係大学の学長らも加わり、継続中の侵攻については約30ページが割かれた。

 20世紀前半について学ぶ10年生向けの歴史教科書も改定され、記述の約3分の1が独ソ戦に割かれた。愛国路線による国民の団結を図るプーチン政権にとって、ソ連のナチス・ドイツに対する勝利は最重要の史実といえるためだ。

 ロシアではウクライナ侵攻を「特別軍事作戦」と呼ぶ。地元紙RBKによると、11年生用教科書はこの作戦に触れた部分で、欧米の最終目的は「ロシアを分裂させ、資源を管理下に置くことだ」と記述する。

 米国と北大西洋条約機構(NATO)が、ウクライナをロシアに対する「突入部隊」にしようとしたと訴え、ウクライナ人に関しては「1990年代以降の数世代はネオナチ思想の中でロシアへの敵意を抱いて育った」と断定した。作戦の目的は「(ウクライナ東部)ドンバス地方の防衛とロシアの安全保障」と位置づける。

 メジンスキー氏は大衆紙コムソモリスカヤ・プラウダのインタビューに、「内容は全て事実に基づく」と主張した。

 ロシアの在外・独立系メディア「メドゥーザ」は、新教科書に対して「主な目的は愛国主義教育だ」と批判。特別軍事作戦についての記述には「侵略を正当化するロシアのプロパガンダの再現にすぎない」と指摘した。

 新しい歴史教科書を巡っては、2022年9月の教育法改定で国定教科書の使用が義務化された。5年間の移行期間が設けられており、RBKによると、11年生用の新教科書は当初65万人の生徒が使う見通しという。【山衛守剛】

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