永瀬王座が先勝 藤井名人、8冠へ苦しいスタート 王座戦第1局

　将棋の第71期王座戦五番勝負（日本経済新聞社主催）の第1局が31日、神奈川県秦野市で指され、永瀬拓矢王座（30）が挑戦者の藤井聡太名人（21）に先勝し、自身初の永世称号「名誉王座」（連続5期または通算10期）の資格獲得へ好発進した。八つのタイトルのうち七つを保持し、史上初の8冠制覇を目指す藤井名人は苦しいスタートとなった。第2局は9月12日に神戸市で行われる。

　両者は、2016年に藤井名人がプロ入りした直後に永瀬王座から声を掛け、練習将棋を指してきた研究パートナー。互いに手の内を知り尽くした間柄だが、藤井名人の挑戦が決まって以降は練習将棋を断ち、それぞれに作戦を練ってきた。前日の記者会見では永瀬王座は「名誉王座に近付けるよう頑張る」、藤井名人は「8冠挑戦の貴重な機会にふさわしい将棋を指したい」と話していた。

　振り駒で先手番となった藤井名人は得意の角換わりに進め、形勢に差が付かないまま終盤戦に入った。双方持ち時間を使い切り1手1分未満で指す激戦の中、藤井名人の攻めをしのいだ永瀬王座が反撃を決めた。【丸山進】