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中国からの不審電話、どう対処する? 着信拒否や国際利用休止を


 東京電力福島第1原発にたまる処理水の海洋放出が始まった24日以降、中国から発信されたとみられる嫌がらせ電話が、福島県など全国の公共施設や民間事業者などに相次いでかかってきている。実際にかけられた事業者には困惑が広がる。不審な電話にどう対処すればよいのか。危機管理の専門家の見方などから探ってみた。

 「謎の外国人たちからの迷惑電話が鳴りやまなく、営業に支障をきたすレベル」。福島市のラーメン店「自家製麺うろた」の店長、遠藤風太さん(26)は「X(ツイッター)」で店の被害について投稿した。24日朝から、店の固定電話に電話がかかってくるようになり、午後6時以降は1、2分おきに電話が鳴った。

 そのほとんどがアジア系の外国人とみられる人物からで、「核排水中止」「ばか、しね」などとまくし立てる内容だった。電話線を抜いて営業したが、27日に電話線を再びつなぐと、すぐに電話がかかってきた。遠藤さんは「処罰まで行かずとも、発信者を特定してもらえたら安心する」と苦々しげに語った。

 福島市の「まるた食堂」にも24日午後以降、海外からとみられる電話がかかってくるようになった。昼夜問わずにかかってきたため、受話器を外した。店主の佐藤正勝さん(71)は「何を言われているのかほとんど分からなかったが、片言の日本語で『自分の国をつぶせ』などと言われたこともあった。迷惑なので電話はやめてほしい」と憤る。

 福島市によると、24日から29日に市役所や出先機関などにかかってきた不審電話の件数は1479件で、このうち98・7%に当たる1460件が国際電話の中国の国番号「86」からの発信だった。福島県によると、県の代表電話にかかってきたのは30日午前8時半時点で2852件、各市町村には28日時点で約1500件に上った。

 福島市の木幡浩市長は29日、復興庁福島復興局を訪れ、外交ルートを通じた働き掛けなどを緊急要望した。木幡市長は記者団の取材に「個人のお店や病院などにも電話があり、一般市民へのテロも同然の行為だと思う。国は毅然(きぜん)として対応してほしい」と訴えた。

 海外からの不審電話が相次いだことを受け、福島県警や福島市は注意を呼び掛けるとともに対応策を示した。身に覚えのない電話番号や番号非通知の電話には出ないことや、通信事業者のサービスやアプリの活用を挙げている。

 迷惑電話は、威力業務妨害(3年以下の懲役か50万円以下の罰金)などの犯罪として、加害者の刑事責任が問われることもある。福島県警は今回の不審電話について「実態の把握に努めるとともに、法と証拠に基づき、必要な調査・捜査を行う」としている。

 元福島県警警部で防災・危機管理コンサルタントの関根篤志さんは、今回の不審電話の立件について「国内の事件では威力業務妨害などが適用されるが、中国からの国際電話となると、なかなか難しい」との見方を示す。「民間事業者の対策としては電話に出ない、通信事業者のサービスに登録するなどで対応するしかない」とし、民事上の損害賠償については「実際に損害が生じたのであれば、今後のなりゆき次第では議論の争点になる可能性はある」と指摘する。

 今回の問題を受け、NTT東日本は29日に「迷惑電話対策センター」(0120・325・263)を設置した。NTT西日本は、通常の相談窓口の局番なしの「116」で問い合わせに応じる。

 NTT東日本によると、同社の固定電話は特定の国番号や局番を指定した着信拒否、国際電話の着信の一律停止はできないという。同社は対策として、①ナンバーディスプレー付きの電話の利用②非通知の電話を拒否する「ナンバーリクエスト」の利用③特定の番号の着信拒否――などを案内している。また、国際電話の利用は「国際電話不取扱受付センター」で休止できる。

 携帯電話では、機器の設定から特定の番号を着信拒否できる。KDDIは迷惑電話やメッセージを拒否できる有料サービスを提供しており、アンドロイド版では海外からの電話を一律で拒否できる。同社の担当者は「海外からの身に覚えのない電話には出ない、折り返さないようにして、着信拒否をするなど対策してほしい」と話した。【松本ゆう雅】

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