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秩父市の誤認識で返礼品「独占」に? イチローズモルト提供停止


 埼玉県秩父市のふるさと納税返礼品であるウイスキー「イチローズモルト」について、酒販店組合の理事長の店が「独占」して提供してきた問題を巡り、北堀篤市長が毎日新聞の単独インタビューに応じた。「組合が提供に必要な酒類の卸売業免許を持っていない」と市が誤って認識し、独占につながった可能性があると明らかにした。組合は2006年に免許を取得しており、イチローズモルトが返礼品となった15年時から提供可能だった。【照山哲史】

「組合は卸売業免許ない」

 酒税法は、酒やウイスキーなど酒類を販売するためには免許が必要と定めている。その免許は、販売業者や製造者に販売する卸売業免許と、消費者や飲食店営業者らに売る小売業免許に大きく分類される。ふるさと納税の返礼品として酒類を提供する際も免許が必要になる。

 イチローズモルトの返礼品提供をめぐっては、市から提供への依頼を受けた製造業者「ベンチャーウイスキー社」の「直接販売せず、組合を通じて」との方針を受け、市は「秩父酒販協同組合」に相談し、組合の朝川知一理事長が経営する「朝日屋」が提供してきた経緯がある。

 市はイチローズモルトの返礼品提供開始と同時期に寄付金に関する業務を大阪に本社がある民間業者「サイネックス」に委託。サ社が返礼品の管理を請け負っていることから、当初は提供元に必要なのは卸売業免許とされた。ただ、返礼品の発送業務は提供元が行っており、現在は提供元に必要とされるのは小売業免許という。

 組合は、小売業免許を1985年、卸売業免許は06年に取得。朝日屋は、小売業免許と卸売業免許を91年に取得している。北堀市長はインタビューで、返礼品を提供できるのは「ベンチャー社か組合のどちらかしかない」との考えを示した上で、長年朝日屋が独占してきた背景に、「組合は卸売業免許を持っていないから」との認識が市役所内にあったとした。ただ、市がなぜ組合が卸売業免許を持っていないと認識したのかは不明だ。

 朝日屋独占の背景に、卸売業免許の必要性があったことが明らかになるのは初めて。卸売業免許を取得しているのは、組合加盟の56小売店のうち朝日屋含め5店舗だ。

早急に体制健全化を

 北堀篤・秩父市長へのインタビューの概要は次の通り。

 ――市にはふるさと納税で昨年度5億円以上の寄付があった。その半分は返礼品としてイチローズモルトを目当てにしている。6月に独占問題が明らかになり提供を停止していることへの見解は。

 ◆市の財政に影響はある。市長就任(2021年5月)前の15年10月に提供を始めたので、詳しい経緯は分からない。

 ――一酒販店が独占提供すれば、その店に利益が上がるのは分かっていたはず。職員らから説明は受けているか。

 ◆組合(秩父酒販協同組合)は酒類卸売業免許がないから、朝日屋単独になったといういきさつがあったと職員からは聞いている。

 ――組合から免許を持っていないと市に説明があって、朝日屋の単独提供が決まったということか。

 ◆可能性はあると思う。いずれにしても「ベンチャーウイスキー」が提供元にならない以上、一小売店ではなく組合が提供するしかないと考える。

 ――組合に市は指導しないのか。

 ◆組合の問題で、市は内部に干渉しない。ふるさと納税で寄付していただこうとする方には大変申し訳ないが、組合が体制を整えるまでは、提供を停止せざるをえない。停止中は市も減収になる。組合は早急に健全化してほしい。

 ――ふるさと納税をめぐっては、過度の返礼品競争や世田谷区など大都市では税収減の問題が出ている。制度を見直すべきとの声もあるが。

 ◆都市部は人口が多く、財政力もある。地方はそうはいかない。制度のルールにのっとって工夫しながら寄付を集めている。知恵を出し合い頑張っており、大都市の論理で制度を見直すことがあってはならない。

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