「入出金を規制させていただきました」――。こんな文面で始まるのは、三井住友銀行が30日に顧客に送った詐欺の注意喚起メールだ。同行は読んでもらう工夫をしたと説明するが、「ヒヤッとする」「心臓に悪い」などとインターネット上で賛否を呼んでいる。
同行が30日昼に送ったメールの件名は「【重要・緊急】入出金を規制させていただきました…などのメールは詐欺です」。スマートフォンの画面の表示方法などによっては冒頭部しか見えないケースもあり、利用者の目を引く形となった。
また、本文の冒頭も「お客さまの口座の入出金を規制させていただきましたので、お知らせします。本人確認後、制限を解除することができます」と偽サイトに誘導して個人情報をだまし取る「フィッシング詐欺」と同様の文面で始めた。
その上で「当行から入出金規制や不正利用と不安をあおったメールを送り、ログイン画面に誘導することは絶対にない」などと注意を呼びかけた。
金融庁などによると、フィッシング詐欺とみられる不正送金の被害は今年に入って急増しており、2023年上半期で過去最多の約2300件、被害額は約30億円にのぼっている。
ネット交流サービス（SNS）上ではメールを受け取った利用者から「ビビって即読んだ。大胆だけどいいアイデア」と感心の声が上がった一方、「公式のメールで『口座規制した』と始めるのはどうかと思う」と疑問の声も出た。
三井住友銀行は「金融機関全体で送付したメールに似たフィッシング詐欺が急増している。より効果的な注意喚起とするためにメールを送信した」と説明した。【杉山雄飛】
