群馬県みなかみ町観光商工課課長補佐の阿部真行さん（52）が、公務員交流サイトを運営する企業が主催する「地方公務員が本当にすごい！と思う地方公務員アワード2023」を受賞した。阿部さんは約9年間にわたり台湾・台南市政府（市役所）に駐在し、台湾からのインバウンド宿泊者数を約10倍にした実績があり、「みなかみと台湾の間で、無我夢中でやってきたことをみなさんに評価いただいた」と喜んでいる。【庄司哲也】
同アワードは、地方公務員が候補を推薦し、審査員も選ばれた地方公務員が務めるユニークな企画だ。今年で7回目の開催で、過去最多の148件の応募があり、12人が受賞した。
阿部さんは2013年から22年3月まで、台南市政府の広報や国際関係を扱う新聞及国際関係処に勤務。台湾でも「唯一の日本の自治体公務員」と話題となった。人脈も豊富で、19年7月には、現副総統で次期総統選の与党民進党の公認候補の頼清徳氏を町に招いた。また、台湾の小規模旅行社に直接周遊型の団体ツアーを売り込み、同町への宿泊者数の大幅増を成功させた。世界的に知名度がある唐鳳（オードリー・タン）デジタル発展部長（閣僚）からも注目された。
阿部さんを推薦した6人のうちの一人で、岐阜県恵那市観光交流課の高木沙織さんは「持ち前の行動力で台湾であまり知られていなかったみなかみ町へのインバウンドを5年間で約10倍に増加させた。他の自治体や台湾行政へも影響を与え、まさに日台交流の懸け橋」と理由を説明している。
阿部さんは「みなかみのような小さな自治体がほかと同じような誘客を行っていては、大きな自治体に太刀打ちできない。職員が『できっこない』と思っていては、自治体そのものが縮こまってしまう。失敗も数々あったが、恐れずに勇気を振り絞って進み続けただけです」と話している。
