インド宇宙研究機構（ISRO）の無人月探査機「チャンドラヤーン（サンスクリット語で月の乗り物の意味）3号」が23日、月面に軟着陸した。地元メディアが報じた。月面への着陸は旧ソ連、米国、中国に次ぐ4カ国目。月の南極付近への着陸は世界初で、氷の状態で眠っているとされる水資源の情報収集などが期待されている。
ISROによると、チャンドラヤーン3号は7月14日にインド南部アンドラプラデシュ州から打ち上げられた。着陸船の総重量は1752キロで、月面探査車「プラギャン（サンスクリット語で英知の意味）」を搭載している。着陸後は、2週間かけて月面の資源を探査する予定。2008年に打ち上げられたチャンドラヤーン1号が収集した情報などから月面の両極付近には氷が存在するとされ、将来的に水素燃料や飲み水として利用できる可能性が指摘されている。
インドは19年にもチャンドラヤーン2号を打ち上げたが、月面に衝突して着陸に失敗。今回はロシアの月探査機も同時期に月面への軟着陸を目指し、ロシア機が先に着陸する予定だったが、タス通信は8月20日に計画が失敗したと報じた。
インド政府は宇宙開発産業の振興を重視し、14年には探査機を火星の周回軌道へ到達させることにアジアで初めて成功している。【ニューデリー川上珠実】
