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まるで冷戦期の工作活動 ロシア、イギリスで「外国人スパイ」利用か


 英国がロシア側スパイの摘発や追放に力を入れている。昨年2月のウクライナ侵攻開始後、英政府はロシア人への経済制裁も強化し国内の治安維持を図るが、ロシア側は「外国人スパイ」を使うなどして対抗している模様だ。

英、異例のスパイ「公開勧誘」

 「我々のドアはいつでも開いている。秘密は必ず守る。流血を終わらせるため、共に働こう」。英情報機関・秘密情報部(MI6)のムーア長官は7月19日、訪問先のプラハで演説し、ウクライナ侵攻に不満を持つロシア人に対し、英国のスパイ活動に協力するよう呼びかけた。異例の「公開勧誘」だった。

 背景には、ロシアの工作活動に対する危機感があるとみられる。英メディアはMI6の元情報部員の話として、ウクライナ侵攻後も「ロシアの影響力排除は不十分だ」と伝えた。特に約15万人のロシア人が住むとされるロンドンは、ロシアの地名風に「ロンドングラード」(英紙フィナンシャル・タイムズ)と皮肉を込めて呼ばれ、ロシアの新興財閥オリガルヒが蓄財する拠点として知られてきた。

侵攻前から取り締まり強化

 英国はウクライナ侵攻以前から取り締まりを強化していた。英南部ソールズベリーでは2018年3月、英国側の二重スパイだったロシア情報機関の元幹部とその娘が猛毒の神経剤で襲撃される事件が発生。英政府はこの事件以後、外交官を装ったロシアのスパイ23人を国外追放し、約100件の外交官ビザ申請を却下したと報じられている。英下院によると、ウクライナ侵攻後、英政府は今年7月までにロシアの1612の個人と229の団体に資産凍結などの制裁も科した。

 これに対抗し、ロシア側は「ロシア国籍ではないスパイ」を使う工作活動を模索している可能性がある。英当局は今年2月、国家機密に関する法律に違反した疑いで、ブルガリア国籍の5人を逮捕し、このうち30~40代の男女3人を起訴したが、いずれもロシア情報機関のために働いていたと報じられている。

 起訴された3人は英国やブルガリア、フランスなどのパスポートや身分証明書を所持していた。男1人はロシアでのビジネス経験があり、英国で通信関連の仕事をしていたという。残りの2人の男女はロンドン西部の家で同居しており、近所の住民は英メディアに「衛星放送のアンテナが、あの家だけ他と違う方角を向いていた」などと話した。

東西冷戦期の状況に類似

 今回の摘発について、情報活動に詳しい英ノッティンガム大のダン・ローマス准教授はフィナンシャル・タイムズに「英国にいるロシア人スパイが追放されたため、ロシアは他国の人物に頼らざるを得なくなった」と分析している。ローマス氏によると、東西冷戦期にも似た状況があり、英国がロシアの前身であるソ連のスパイを大量に追放した後、ソ連側は同じ共産圏の東ドイツやチェコスロバキア(いずれも当時)のスパイを使って英国での工作活動を続けた時期があったという。【ロンドン篠田航一】

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