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少年院で在来種のタンポポを保全 非行少年の情操教育にも一役


 希少種の植物を育て、再非行防止につなげよう――。関東近郊の三つの少年院で、在来種の「カントウタンポポ」を世話する取り組みが広がっている。2019年に閉庁した神奈川医療少年院(相模原市中央区)の跡地に残っていた株をそれぞれの少年院に移植。法務省は少年に生物多様性を学んでもらい、立ち直りにも役立てたい考えだ。

 カントウタンポポは関東地方を中心に分布し、高さ15~30センチの茎の先に直径3・5~4センチの花を付ける。花を支える苞(ほう)の部分がセイヨウタンポポのように反り返らずに上を向くのが特徴だ。

 外来種に押されがちだが、塀に囲まれ、自由に出入りできず、適度に人の手が加わった旧神奈川医療少年院の環境が、生育に良好な「半自然草地」として保たれ、群生していたという。

 22年11月に「たんぽぽプロジェクト」と称して、旧神奈川医療少年院の跡地から、東日本少年矯正医療・教育センター(東京都昭島市)、多摩少年院(同八王子市)、愛光女子学園(同狛江市)の三つの少年院に株が移植され、少年が世話を続けている。

 その一つ、東日本少年矯正医療・教育センターでは、中庭に設置されたプランターでカントウタンポポを栽培。少年が法務教官とともに水やりをしたり、雑草を抜いたりして、生育環境を観察している。

 自然に触れる機会がなかった少年も多く、同センターの新井秀人法務教官(54)は「タンポポを育てていく中で(少年の)表情も柔らかくなった。花を咲かせた時は達成感があるようで、心の変化も肌で感じた」と目を細める。

 こうした取り組みは、法務省が22年度から一部の刑務所・少年院の処遇に取り入れた環境教育の一環だ。栃木県さくら市の喜連川社会復帰促進センターでも在来種のチョウを保護するため、幼虫のエサの植物を栽培している。

 たんぽぽプロジェクトでは、横浜国立大の倉田薫子准教授(生物多様性保全)も協力。倉田准教授はそれぞれの少年院で、身近な環境多様性をテーマに講義をした。

 約80人の少年たちへのアンケートには「生物多様性へ興味、関心を持てた」「タンポポへの水やりが、社会の貢献につながると思うとうれしかった」との声が寄せられたという。倉田准教授は「社会課題を知りたい、社会貢献をしたいという少年の思いが伝わった」と期待を寄せる。

 成長したカントウタンポポは、旧神奈川医療少年院の跡地で26年度中に開設見通しの「神奈川少年更生支援センター(仮称)」に戻す予定という。法務省矯正局の担当者は「各少年院で情操教育にプラス効果があるとの手応えがあり、タンポポが跡地に返るまで大事に育てたい」と話す。【飯田憲】

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