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明石の悪質水上バイク激減 「罰則」の抑止効果抜群 市条例1年


 水上バイクによる悪質な運転が近年問題になる中、懲役刑を盛り込んだ条例を全国の市町村に先駆けて制定した兵庫県明石市。施行から1年半近くたったが、実際にその効果はあるのだろうか。

 1シーズンで10万人超の利用者がある大蔵海岸海水浴場をはじめ、各地で水着姿を目にするようになった。記者が7日に訪れた江井島(えいがしま)海岸でも強い日差しの下、複数の親子連れが涼を楽しんでいた。沖合には、湾を囲うように二重につながれた黄色のブイが浮かぶ。浜辺に目を移すと看板にこう書かれていた。「水上バイク 乗り入れ禁止 引き入れ禁止」

 条例化のきっかけは21年夏にあった危険行為だ。市内の別の海岸で、男性が運転する水上バイクが遊泳者のすぐ横を爆走したとする様子がテレビで放送された。当時の泉房穂市長は、殺人未遂と県水難事故防止条例違反の疑いで神戸海上保安部に刑事告発するとともに、より厳しい条例づくりを進めた。

 市条例は22年3月に施行された。市長が指定する「遊泳者安全区域」への乗り入れを禁じるとともに、侵入してジグザグ航行などの危険運転が確認された場合に「6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金」の刑事罰を科すという内容だ。

 市は安全区域を海水浴客の多い▽大蔵▽林崎・松江▽藤江▽江井島――海岸の計4カ所に設定。ブイを設置し範囲を分かりやすくしている。

 県も同様に危険行為や飲酒操船などに対し「3カ月以下の懲役または50万円以下の罰金」を科すよう22年7月に条例を改正。県内全ての海域を対象に「包囲網」を張り巡らしている。

罰則適用はゼロ

 条例制定による効果は少しずつ現れている。市によるとこれまでに罰則が適用された事例はない。また神戸海保によると、118番などの通報件数は条例化前の21年に21件だったのが、22年には7件と3分の1に激減。近隣の神戸市は8件が5件、淡路島は24件から23件と微減にとどまっており、違いは顕著だ。

 明石市海岸・治水課の担当者は「実際に立件するには現行犯でないと難しいなどハードルは高いが、条例が広く知られて抑止効果はあった」と話す。市民からの通報や苦情も寄せられてはいるが、区域外での走行や「音がうるさい」など条例には抵触しない内容だったという。

 市は国や県など関係機関や事業者らと連絡会議をつくり、定期的に会合を重ねている。市は「水上バイク自体が悪いというわけではない。ルールやマナーを守ってそれぞれで楽しんでほしい」とし、引き続き啓発活動やパトロールに取り組むとしている。【入江直樹】

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