ウクライナの情報機関・保安局（SBU）は7日、ゼレンスキー大統領の暗殺計画に関与したとして、ロシア側の工作員とみられる女性容疑者1人を逮捕したと発表した。英BBC放送などが伝えた。保安局は容疑者の氏名を公表していない。
報道によると、ゼレンスキー氏が今年6月にダム決壊で浸水被害を受けた南部ミコライウ州を視察する際、容疑者はその旅程を事前に入手しようと試みたという。また、ウクライナ軍の電子戦システムや弾薬庫の場所に関する情報もロシア側に流そうとした。ロシア軍は当時、ミコライウ州への大規模な空爆を計画していたとされる。保安局はゼレンスキー氏の現地訪問前にロシア側の計画を察知し、警備上の対策を講じたという。
容疑者はミコライウ州オチャキフの住民で、軍事基地の売店で働いていた。ゼレンスキー氏は7月にこの町を訪問したが、保安局はこの時は容疑者を逮捕せず、しばらく行動を監視した。容疑者は周辺地域で車を運転し、ウクライナの軍事施設の写真・ビデオ撮影を続けていたという。
工作活動がどの程度「成功」していたかは不明だが、容疑者は軍事情報を無許可で流布した罪に問われる見通しで、最長で12年の懲役刑の可能性があると報じられている。【ロンドン篠田航一】
