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「食うなよ寝とけ」娘支配した「習慣的な脅迫」 共済金詐取で母起訴


 娘(9)に食事を与えず低血糖症で入院させて共済金をだまし取ったなどとして、大阪地検は8日、パート従業員の縄田佳純容疑者(34)=大阪府大東市=を詐欺と強要未遂の罪で起訴した。大阪府警によると、縄田被告は娘に対し、食事を取らないよう繰り返し脅していたとされる。府警が依頼した小児心理学の専門家は「『習慣的な脅迫』によって、娘は母親の存在が恐怖となった。絶対的に服従する状態に追い込まれていたのではないか」と分析したという。

 起訴状によると、縄田被告は1月下旬、当時8歳の娘に食事を与えずにケトン性低血糖症にして入院させ、共済金6万円を共済団体から詐取。2月上旬に娘が再入院した際、食事を取らないよう娘を脅したなどとされる。地検は認否を明らかにしていない。捜査関係者によると、被告は逮捕直後は「故意に娘を低血糖にさせていない」と容疑を否認し、その後は黙秘を続けているという。娘に下剤を飲ませたとする傷害罪でも起訴されており、大阪地裁で公判中だ。

敬語で食べ物ねだる

 「お菓子とかアイスを食べていいですか」「トマトとかもらったやつ食べていいですか」。府警によると、娘は入院前の1月19日、SNS(ネット交流サービス)で母親にこんなメッセージを送っていた。この日は学校で給食を食べた後、何も口にしていなかった。府警の捜査では給食による摂取カロリーは591キロカロリーで、8歳児が1日に必要とするカロリーの3分の1しかなかった。

 敬語で食べ物をねだる娘に対し、縄田被告は「やめとき」と返信し、食事を許さなかった。娘は翌20日、学校を休んで給食も食べられず絶食状態に。21日も祖父からもらった梅の菓子を三つ食べただけで、低血糖症で22日から6日間入院した。入院前に食事をしないよう強いられたことについて、娘は「ママはもやしを食べていた。いいなあと思ったけど怒られると思って言わなかった」と府警に説明したという。

 食事をしないよう脅すようなメッセージは、娘が2月上旬に再入院した際にも送られていた。5日には縄田被告が「(病院で)ごはんたべてるんやろ?」「けいさつにゆっとくわ。うそつきやから、もうそだてられませんって」「次ウソついたら、あんたつかまるで」などと相次いで送信。電話でも「泣くなって、うっとうしいから」「食うなよ、寝とけ」と指示していた。娘は携帯電話をスピーカー状態にしており、近くにいた看護師がやり取りの異常さに気付いて事件が発覚した。

 府警によると、娘は2018年春~23年2月、ケトン性低血糖症による嘔吐(おうと)などの症状で計43回入退院し、それに伴う共済金と保険金計約570万円を縄田被告は受け取っていた。ケトン性低血糖症は長時間の空腹で引き起こされるもので、府警は被告が絶食の強要を繰り返していたとみている。

 滋賀県立小児保健医療センター内分泌代謝糖尿病科の松井克之医師は低血糖症が長く続く弊害として「栄養が脳に行き渡らず、知力や認知機能に影響が出る危険性がある」と指摘する。

 娘は2月9日に児童相談所に一時保護され、その後は1日3食の食事を取り、体調不良を訴えることはないという。【郡悠介、洪玟香】

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