ポーランドのモラウィエツキ首相は3日、隣国ベラーシとロシアが「北大西洋条約機構（NATO）の東側を不安化させるためにさまざまな挑発の動きを強めている」と批判した。ポーランド北東部でリトアニアのナウセーダ大統領と会談後、共同記者会見で語った。
ポーランドは、ロシアの民間軍事会社ワグネルがベラルーシに駐留する部隊の一部を国境近くに移動させていると主張するほか、ベラルーシのヘリコプターが領空を侵犯したと訴え、国境警備を強化している。
モラウィエツキ氏は7月29日、ベラルーシにいるワグネルの戦闘員100人以上がポーランドとの国境近くに移動したとの情報があると明かした。ベラルーシのルカシェンコ大統領は否定しているが、ポーランド首相官邸のソーシャルメディアによると、モラウィエツキ氏は会見で「ワグネルが破壊工作を行う可能性がある」と述べ、改めて強い警戒感を示した。ロイター通信によると、ナウセーダ氏は会見で、ベラルーシにいるワグネル戦闘員は4000人超に上る可能性があると指摘した。
また、ポーランド国防省は1日、ベラルーシのヘリコプター2機が領空を侵犯したと発表した。ベラルーシは領空侵犯についても「根拠がない」として否定している。
モラウィエツキ氏とナウセーダ氏が会談したポーランド北東部のリトアニア国境地帯は「スバウキ回廊」と呼ばれる。ロシアの飛び地カリーニングラードとベラルーシに挟まれ、NATOの安全保障上、重要な地域となっている。【ブリュッセル岩佐淳士】
