starthome-logo 無料ゲーム
starthome-logo

ロシアとアフリカ、反植民地主義で結束演出 ウクライナ問題では溝か


 ロシア・アフリカ首脳会議(サミット)は28日、2日間の日程を終え、多岐にわたる分野での協力を確認した。欧州の国々がアフリカのほぼ全域を植民地支配した歴史を批判する点でも一致。一方、ロシアがウクライナで続ける「特別軍事作戦」を巡っては溝が埋まらなかった模様だ。

 ロシアとアフリカ諸国の首脳会議は2019年以来2回目。今回はロシア北西部サンクトペテルブルクで開き、アフリカから49カ国が参加。うち17カ国は首脳が出席した。会議では、テロ対策での協力▽宇宙空間での軍拡防止▽今後3年間の協力計画――などの合意文書を採択した。

 サミットの宣言では、ロシアがソ連時代も含めて、アフリカ諸国と「伝統的な植民地主義の根絶に向けた共同の闘い」を実践してきたと主張した。ロシアのプーチン政権は、ウクライナでの特別軍事作戦を理由に対露制裁を科した欧米諸国への対抗姿勢を鮮明にし、植民地支配という負の歴史を取り上げている。

 一方、特別軍事作戦やこれに伴う問題を巡りアフリカ諸国の首脳がプーチン氏に注文する場面もあった。

 アフリカ諸国は6月、露軍のウクライナからの撤収や、国際刑事裁判所(ICC)がプーチン氏に出した逮捕状の停止などを盛り込んだ和平案を提示したが、ロシアとウクライナは拒否した。コンゴ共和国のサスヌゲソ大統領は28日の会議で「アフリカのイニシアチブは注目に値し、過小評価すべきではない」と発言。和平案の再考を促した。

 プーチン氏は、和平協議に関心はあるが、ウクライナが拒んでいるため再開されていないと訴えた。

 ロシアは今月中旬、黒海経由でのウクライナ産穀物の輸出を保障する合意から離脱した。このため国際的な穀物価格の高騰や、アフリカなどでの食糧危機の懸念が高まっている。エジプトのシシ大統領は28日の会議で「必要としている国を考慮し、穀物に関する合意で同意を得る必要がある」と述べ、合意に復帰するようロシアに呼び掛けた。

 19年はアフリカから43カ国の首脳が出席したが、今回は17カ国にとどまった。ロシアは「米国やフランスなどが厚かましく干渉した」(ペスコフ大統領報道官)ことが理由だと主張している。【モスクワ大前仁】

ロシア重視は「第三の選択肢」

 アフリカの対外貿易に占めるロシアの割合は2%に満たず、経済や援助の面では中国や欧米諸国に遠く及ばない。ウクライナ産食料輸出を巡る合意からロシアが離脱したことで、アフリカ諸国には不満もくすぶる。それでもアフリカの多くの国々がロシアと友好関係を維持する背景には、軍事・安全保障面での期待や、冷戦時代から続く交流がある。

 マリではこの10年ほどイスラム過激派の活動が活発で、政府は当初は旧宗主国のフランスに支援を求め、掃討作戦を続けた。しかし、過激派の抵抗は収まらず、連携相手をロシアに切り替えた。ロシアは大量の武器の供与に加え、民間軍事会社「ワグネル」の戦闘員も派遣。マリ国民の間では、これらの支援がテロ対策で一定の成果を上げていると評価されている。

 同じく過激派に悩む隣国ブルキナファソもロシアとの軍事面での連携を急速に進める。中央アフリカは反政府武装勢力への対策としてワグネルを受け入れた。ロシアは欧米が重視する民主主義や人権にこだわらないため、その支援は強権的な国にとって「使い勝手が良く、即効性がある」のが特徴だ。

 一方、南アフリカは1990年代まで続いた黒人へのアパルトヘイト(人種隔離)政策で、反対闘争をするアフリカ民族会議(ANC)がソ連から軍事訓練などの支援を受けた。ANCは政権を握った後、ソ連を継承したロシアとの関係を重視しており、ウクライナ侵攻に関しても直接的なロシア批判を避けている。また、アンゴラのように、政権がかつて内戦でソ連の支援を受けていたケースもある。

 ロシアは、英国やフランスと異なりアフリカで植民地支配をしたことがないため、進出に当たってアフリカの市民から反発を受けにくい。アフリカ諸国は、欧米や中国に依存し過ぎないための「第三の選択肢」として今後もロシアを重視することになりそうだ。【ヨハネスブルク平野光芳】

    Loading...
    アクセスランキング
    starthome_osusumegame_banner
    Starthome

    StartHomeカテゴリー

    Copyright 2024
    ©KINGSOFT JAPAN INC. ALL RIGHTS RESERVED.