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讃岐うどん 空前のブーム生んだ研究会40年、その「恐るべき」歩み


 讃岐うどんの伝統を継承し発展を目指す「さぬきうどん研究会」(香川大学農学部内)が2024年1月に創立40周年を迎える。7月には講演会「香川県におけるフードツーリズムの可能性」を開き、講師の原直行・香川大副学長がご当地グルメを「皿にのった、その土地の歴史であり文化」と表現した。そうした観点から讃岐うどん人気を長年支えてきたのが研究会だ。諏訪輝生会長(75)に40年の歩みを聞いた。

瀬戸大橋開通きっかけ 正統派目指し

 研究会は、第2次讃岐うどんブームが始まろうとしていた1984年に発足した。第1次ブームは70年の大阪万博に讃岐うどん店が出店したことで始まり、第2次ブームは瀬戸大橋がきっかけだった。全国から来た工事関係者が本場でうどんを食べ全国に情報発信され、88年の開通後に観光客が押し寄せることになった。研究会が目指したのは「正統派」。ブームの土台の強化につながっていった。

 89年には香川県内のタウン誌が「怪しい、楽しい」をキーワードに連載「ゲリラうどん通ごっこ」を始め、「遊び心」を押し出して後の第3次ブームを引っ張っていくことになった。

郷土の文化として研究・発展

 研究会の初代会長は真部正敏・香川大農学部教授。会報「讃岐うどん」創刊号にこんな趣旨の文章を寄せている。「昭和30年代まで家庭で見られた手打ちが今では遠のいた。郷土の文化が失われていく。讃岐うどんを技術的、品質面からだけでなく文化としてとらえ、発展させていきたい」。創立時の会員はうどん店、大学、農協、料理学校、県農業試験場、製粉業などからの約80人。現在は約110人に増えた。

 研究会の活動は幅広い。食材としてのうどんや、県民とうどんの関係性も研究している。例えば、県民はどれだけの頻度でうどんを食べるのか。県の2016年県民健康・栄養調査結果を基に、男性約5割、女性約4割が週1回以上だと紹介。新型コロナウイルス禍の影響も22年7月、県内うどん店にアンケート調査を実施し、コロナ前の19年には平均277円だったかけうどん(小)が300円に値上がりしていた。

講義や教室、イベント 全国と交流も

 讃岐うどんの歴史と文化についての講演会も続けており、県職員初任者研修で毎回講義している。また、全国麺文化研究のため毎年各地を探訪。子ども向けのうどん教室を開いて手打ちの普及にも力を入れる。県内の留学生のためのうどん体験会も実施してきた。

 中国の麺食文化の専門家との交流事業も6回開催し、「世界麺フェスタ2008inさぬき」(県観光協会を中心とした実行委員会主催)に結びついたこともあった。

 全国のご当地うどん店が毎年正月に高松市に集結する「全国年明けうどん大会」(県など主催)など、官民挙げたうどんイベントにも協力している。優れた讃岐うどんの味や職人を表彰する「さぬきうどん技能グランプリ」(県など主催)でも毎年、審査員を出し、研究会会長賞も授与している。

現会長は「めりけんや」元社長

 現在の会長の諏訪さんは旧国鉄・JR四国社員だった。1998年から11年間、JR四国グループの讃岐うどん製造販売会社「めりけんや」の2代目社長を務めた。2002年に、めりけんやなど県内うどん2社が首都圏に相次いで初出店すると讃岐うどんの全国的な知名度が急上昇し、第3次ブームが花開いた。

 諏訪さんはめりけんやを通して長年研究会に関わってきた。16年に2代目の会長に就任し、「安くておいしいだけではない奥深い食文化をもっと知ってほしい」と願う。創立時に実施した「讃岐うどんに関する県民の意識調査」について、40周年の節目に再度調査し、比較して変化をまとめる予定だ。【佐々木雅彦】

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