国連のグテレス事務総長の報道官は20日、ウクライナ南部の港の穀物輸出インフラに対するロシア軍の攻撃を「強く非難」し、国際法に違反する可能性があると警告した。「今回の攻撃の影響はウクライナ(一国)にとどまらない」とも述べ、穀物の国際価格への悪影響や途上国向けの供給停滞に懸念を示した。
ロシアは17日にウクライナ産の穀物を黒海経由で輸出する合意の履行停止を発表。20日までに3日連続で南部の主要港をミサイルなどで攻撃した。ロシア国防省は合意の停止に伴い、20日以降に黒海を通じてウクライナに入港するすべての船舶を「軍事物資の輸送に関わっているとみなす」と威嚇している。
国連はロシアの合意復帰に仲介を続ける意向だが、報道官は「(ロシアは)我々の努力からさらに遠ざかろうとしている」と述べる一方、「行動と言葉をエスカレートさせない必要がある」と指摘した。
国連安全保障理事会は21日に会合を開き、ロシアの穀物合意離脱がもたらす人道的影響について協議する。【ニューヨーク八田浩輔】