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ブルガリア、ロシア製原子炉のウクライナへの売却交渉を開始


 ブルガリア政府は、北部ベレネで建設を進めていたベレネ原発のロシア製原子炉などの設備について、ウクライナに売却する交渉を開始した。ロシアによるウクライナ侵攻の影響で、建設継続のめどが立たなくなったためで、買い手としてロシア製原発を使用してきたウクライナが浮上した。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は7月6日、ブルガリアを訪問し、デンコフ首相と会談。両国間で原子力を含めたエネルギー分野での協力に関する覚書を交わした。

 デンコフ氏はゼレンスキー氏との会談後、地元メディアに「ベレネ原発の原子炉をウクライナの原発で使用するための協議を始めた。これは交渉の開始にすぎず、技術、資金、経済面での多くの課題を今後議論する」と語った。

 ウクライナではロシアが占拠するザポロジエ原発を除く国内3原発が攻撃を免れて稼働しており、1月の段階で電力消費量の5割以上をまかなう主力電源となっている。国内で稼働する原子炉はすべてロシア製で、技師や企業がロシア製設備の維持や改修などに慣れている利点がある。

 ベレネ原発の建設計画は1980年代に始まった。資金不足などによる計画中止と再開を繰り返し、ブルガリア国営電力企業NEKは2006年、露国営原子力企業ロスアトムと建設契約を結んだ。

 だが、22年2月以降のロシアによるウクライナ侵攻と、西側諸国の対露制裁でロシアとの協力が不可能になり、原子炉の組み立てなど建設継続のめどが立たなくなった。このためブルガリア政府は北西部コズロデュイで米国製原発の建設計画を別途進めており、ベレネ原発の施設売却で得た資金を建設費に充てたい考えだ。

 ブルガリア議会は6日、原子力設備をウクライナへ売却するための交渉権について政府に与える議案を賛成多数で可決。NEKがロシアから購入した原子炉2基や蒸気発生器などの費用6億ユーロ(約930億円)をウクライナへの売却価格の最低ラインとした。デンコフ首相は同国メディアに対し、昨年の段階で既に、ウクライナ側からベレネ原発の設備に対して関心が寄せられていたことを明かした。

 ブルガリアの報道によると、ベレネ原発の建設は1割程度しか進んでおらず、建設途中の設備を購入できるのは、他の設備がそろっているウクライナ以外にないとの見方が出ていた。ウクライナ西部のフメリニツキー原発での使用が見込まれているという。

 ウクライナの購入資金については、欧米が支援する可能性がある。欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会は、EUが既に支出した支援金を利用することが可能との見解を出している。【ブリュッセル宮川裕章】

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