北朝鮮の金正恩（キムジョンウン）朝鮮労働党総書記の妹、金与正（キムヨジョン）党副部長は10日、米空軍の偵察機が北朝鮮の主張する南北の「海上軍事境界線」を北朝鮮側に越えたと主張し、非難する談話を発表した。北朝鮮国営の朝鮮中央通信が伝えた。北朝鮮側は同日午前にも「米軍偵察機が領空侵犯した」とする声明を発表。その後、韓国軍がこれを否定したため、反発したとみられる。
談話は、10日午前5時ごろ以降、米軍偵察機が日本海側から「海上軍事境界線」を越え、北朝鮮東部地域を空中偵察したと主張した。同午前8時50分ごろ、米軍機が同様の偵察をしたため、米国側に「厳重警告」をしたという。
金氏は「我々の主権と安全利益を厳重に侵害している」とし、再び同様の飛行をした場合は「明確かつ断固たる行動で対応すると繰り返し警告する」と強調した。
北朝鮮国防省は10日午前、今月2～9日に米軍偵察機が複数回、「領空を数十キロも侵犯する事件」があったとする報道官の談話を発表した。「明白な威嚇であり、地域情勢を取り返しのつかない破局的な状況へ追い込む重大な挑発行為」だとし、撃墜を警告した。だが韓国軍は「領空侵犯の事実はない」と否定していた。【ソウル日下部元美】
