starthome-logo 無料ゲーム
starthome-logo

ロシアは「カラシニコフ経済」 なぜ制裁に耐えられるのか


 ロシアのウクライナ侵攻から1年以上が経過し、欧米のロシアへの制裁が続いている。だが、ロシア経済は持ちこたえ、戦闘が収束する気配はない。ロシア経済を分析する英コンサルティング企業「イースタン・アドバイザリー・グループ」代表のリチャード・コノリー氏は、ロシア経済の耐久力をロシア製自動小銃にたとえて「カラシニコフ経済」と呼ぶ。その理由とは。

 ――経済制裁はウクライナ侵攻に影響していますか?

 ◆ロシア経済は、昨年は3%程度の成長が見込まれていた。だが、実際は2%のマイナス成長で、制裁は計5%分、景気を下押しする効果があった。ただ、ウクライナ侵攻を止めるほどの効果は出ていない。ハイテク製品に対する輸出規制などで兵器を生産するコストを上げることはできても、生産自体を停止させるのは難しい状況だ。

 ――経済制裁の他の産業への影響は。

 ◆最も大きな影響を受けているのは、西側企業が生産の6~7割を占めていた自動車産業だ。(生産に影響が出ているため)今ロシアがやっているのは、中国製の自動車の輸入と、第三国を経由した西側の自動車の輸入だ。カザフスタンや中国など第三国を経由した輸入はコストがかさむが、富裕層は、高くてもドイツや日本の自動車を買い続けるだろう。また、一般市民は中国製の自動車を購入するので中国メーカーには好機となる。

 一方、軍需品は相当程度、国内で調達できている。部品を他国に頼ることはあっても、完成品を外国から輸入することはない。精密誘導兵器などに使うマイクロチップは中国や香港、カザフスタン、トルコ、ベトナムなどから購入している。ロシアは現在も多数の巡航ミサイルを製造し、イラン製のドローンをライセンス生産している。

 ――制裁の抜け道などを見つけ出すことも含め、ロシア経済には耐久力があるように見えます。

 ◆私は「カラシニコフ経済」と呼んでいる。完璧でもなければ効率的でもないが、紛争や戦争で持ちこたえる構造になっているからだ。この点が、洗練されてはいないが丈夫で、戦地の厳しい環境でも作動するロシア製の自動小銃カラシニコフ(AK47)に似ている。【聞き手・ブリュッセル宮川裕章】

リチャード・コノリー(Richard Connolly)氏

 1979年、英バーミンガム生まれ。新米国安全保障センター(CNAS)非常勤シニアフェロー、英王立防衛安全保障研究所(RUSI)アソシエートフェロー。ロシア経済を専門に研究し、著書に「ロシアの制裁対策」(2018年、ケンブリッジ大学出版局)、「ロシア経済入門」(20年、オックスフォード大学出版局)など。英バーミンガム大で博士号(政治経済学)取得。

    Loading...
    アクセスランキング
    starthome_osusumegame_banner
    Starthome

    StartHomeカテゴリー

    Copyright 2024
    ©KINGSOFT JAPAN INC. ALL RIGHTS RESERVED.