2022年8月の大雨で発生した山形県飯豊(いいで)町の大巻橋崩落について、山形大災害環境科学研究センターは6日、上流部の土石流による流木が橋脚に巻き付いて川をせき止め、水圧が増したのが原因とみられるとした調査報告書を公表した。センターは被害の大きかった同町などで現地調査を実施し、災害の発生原因などを分析していた。
県南部では8月3日、集中的な雨をもたらす「線状降水帯」が発生し、翌4日にかけて雨が降り続いて最上川や支流が氾濫するなどの大きな被害が出た。同町では小白川に架かる大巻橋が崩落。通行中の車1台が流され、乗っていた男性1人が現在も行方不明のままになっている。
調査報告書によると、小白川上流部の山林に大量の雨が降ったことで、岩盤上の土壌が流出する「表層崩壊」や土石流が多数発生し、大量の流木や土砂が小白川に流れ込んだ。
大巻橋では、橋脚に流木などが巻き付いたことで、橋付近が「ダム」のようになり、川の水がせき止められてしまった。この水圧によって橋が崩落したという。その後、たまった水が一気に放出されて下流の水位も急上昇したため、JR米坂線小白川橋梁(きょうりょう)が崩壊したとみられるとしている。
センター所長の本山功教授は「線状降水帯の発生による影響が局地的に強く現れるということが判明した。どのような被害が出たのか検証していく必要がある」と指摘した。【神崎修一】