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米、ウクライナにクラスター爆弾の供与を検討か 反転攻勢1カ月


 ロシアの侵攻を受けるウクライナが6月上旬に反転攻勢を開始してから1カ月となる。米国のバイデン政権は、ウクライナの進撃を加速させるため、より攻撃力が高い兵器の供与へ向けた本格的な検討に入っている。不発弾による民間人への被害も懸念されるクラスター爆弾や、長射程の地対地ミサイルが供与される可能性がある。実現すれば今後の戦況に影響しそうだ。

 「現在進行形のプロセスだ」。米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長は6月30日にワシントンで講演し、クラスター爆弾の提供を検討中と明かした。結論は出ていないとしたものの、「ウクライナ側からの要求だ。欧州の一部の国はすでに提供しており、ロシアは戦場で使用している」と前向きな姿勢も見せた。

 クラスター爆弾は一つの親爆弾のなかに数十~数百個の子爆弾が収められている兵器。空中で親爆弾が分解して子爆弾がばらまかれる仕組みで、広範囲を同時に攻撃できる。殺傷力は高いが不発弾も多く、紛争終結後も子供を含む民間人に被害を及ぼすおそれがあるため、製造や使用はオスロ条約で禁止されている。

 米露やウクライナはこの条約に加盟していない。ロシアやウクライナは戦場で使用しているとされ、トルコによるウクライナへの提供も報じられている。

 バイデン政権はこれまでクラスター爆弾の供与に消極姿勢だった。米CNNテレビによると、米軍は2016年にクラスター爆弾使用の段階的な廃止を開始。また、大統領権限で解除できるものの、不発弾率が1%を超えるタイプのものは法律で他国への提供を制限している。英仏独など北大西洋条約機構(NATO)の主要加盟国はオスロ条約に加盟しており、提供には理解を得る必要がある。

 クラスター爆弾の提供が現実味を帯びる背景には、反転攻勢が想定より進んでいない現状がある。米軍には豊富な備蓄があり、クラスター爆弾1発で通常の砲弾複数発の効果があるため、ウクライナ軍の砲弾不足を補えるとみられている。クーパー米国防次官補代理は6月下旬の下院外交委員会で、ざんごうに身を隠すロシア軍部隊を攻撃するのに「役に立つ」と述べた。

 CNNテレビは6月末、ホワイトハウスが近く提供の是非を最終決定すると報じた。承認されれば、7月中に発表されるウクライナへの軍事支援に含まれる可能性があるとしている。

 さらに、バイデン政権はウクライナがこれまで繰り返し提供を要請してきた長射程の地対地ミサイル「ATACMS(エイタクムス)」の提供も検討中の模様だ。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、政権の「最高レベル」の承認待ちとされる。米欧の政府関係者の間では、露民間軍事会社「ワグネル」の一時反乱でロシアが混乱しているうちに、より高性能な兵器を供与すべきだとの考えが強まっているという。

 ATACMSは最大射程300キロで、ウクライナ軍が前線から遠い露軍の後方支援拠点などを攻撃するのに有効とみられる。ただ、ロシア領土の攻撃に使用された場合、米露間の緊張が過度に高まる懸念からバイデン政権はこれまで供与に慎重姿勢を見せてきた。【ワシントン鈴木一生】

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