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揺れるフランス 各地で若者ら暴動、人種差別の分断浮き彫りに


 フランスが各地で続く若者らの暴動に揺れている。パリ西郊ナンテールで警察官が車の停止命令を拒んだ北アフリカ系の17歳の少年を射殺し、これに反発した人々が暴徒化したためだ。暴動は沈静化しつつあるが、人種差別を巡るこの国の分断が改めて浮き彫りになり、社会不安が広がっている。

 6月27日に射殺事件が起きて以降、仏各地では警察署や役所、学校などの破壊・放火や商店の略奪などが相次いでいる。3日までに3000人以上が逮捕された。多くが10代の若者だった。

 複数の自治体は先週末、夜間の外出禁止令を発令した。パリ近郊ライレローズでは7月2日、市長の自宅が襲撃された。仏紙ルモンドによると、市長宅に車が突入。市長本人は不在だったが、妻や子供が逃げる際に負傷した。マクロン大統領は2~4日に予定されていたドイツへの国賓訪問を中止し、外交への影響も出ている。

 仏内務省によると、2日に逮捕されたのは160人弱で、前日の約720人から大きく減少し、暴動は収束に向かっている模様だ。ただ、一連の混乱は、仏社会に根深い人種差別を巡る対立を再燃させている。

 射殺された少年はアルジェリアとモロッコにルーツを持つ移民系のフランス人だった。仏警察はこれまでも、移民系住民らへの過剰な取り締まりなどが問題視されてきた。2005年にはパリ東郊で警官に追われた移民系の少年2人が変電所に逃げ込み感電死し、この時も全土で警察への抗議、暴動が広がった。

 仏社会学者のエマニュエル・ブランシャール氏はルモンドに「フランスは(北アフリカなどに)植民地を保有していた時代から、警察が人種差別的な(手法で社会の)統制をしてきた歴史がある」と指摘。今回の暴動では、そうした仏社会に対する移民系や貧困層の若者らの怒りが噴出したとみられる。

 SNS(ネット交流サービス)では放火や略奪の動画が投稿、拡散されている。マクロン氏はSNSが若者に暴動を促していると訴えるが、一方で、こうしたマクロン氏の主張を「問題のすり替えだ」と非難する声も多い。

 サッカーのフランス代表で、両親がアフリカ出身のエムバペ選手は、ツイッターで「この受け入れがたい死が起きた状況に無関心でいることはできない」と少年の射殺に対する憤りを示しつつ、「暴力は何も解決しない」と強調した。【ブリュッセル岩佐淳士】

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