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路線価上昇「今後も続く」 利便性向上や企業進出の地方で回復


 国税庁が3日に公表した2023年分の路線価(1月1日時点)は全国の平均変動率が前年比プラス1・5%で2年連続で上昇した。地方都市の回復が目立ち、上昇幅も前年のプラス0・5%から拡大した。専門家は「今回の数値は5月に新型コロナウイルスが5類に移行し、行動制限の緩和が反映される前のもの。国内観光客の動きが活発化しており、今後も上昇傾向が続く」としている。

 路線価は相続税や贈与税の算定基準。都道府県別では25都道府県が前年より上がり、東京(プラス3・2%)と大阪(同1・4%)は2年連続で上昇した。上昇率トップ3は北海道(同6・8%)、福岡(同4・5%)、宮城(同4・4%)。下落率が大きかったのは和歌山(マイナス1・2%)、福井(同1・0%)、愛媛(同0・9%)の順だった。

 都道府県庁所在地の最高路線価は29都市で上昇した。上昇率トップは岡山市(プラス9・3%)で、札幌市(同8・4%)、さいたま市(同8・0%)と続いた。24年春に北陸新幹線の延伸が予定されている福井市はプラス6・1%と大幅に上がり、22年9月に九州新幹線長崎ルート(西九州新幹線)が開業した長崎市も同1・3%だった。下落率トップは鳥取市(マイナス3・0%)。

 全国に524ある税務署別の最高路線価は、東京・銀座(中央区銀座5銀座中央通り)が1平方メートル当たり4272万円で38年連続日本一。上昇率トップは福岡県久留米市の西鉄久留米駅前通りのプラス19・1%だった。前年まで下落率が2年連続トップだった大阪市の繁華街・ミナミ(中央区心斎橋筋2心斎橋筋)は、前年のマイナス10・6%から横ばいに持ち直した。

 不動産専門のシンクタンク「都市未来総合研究所」の平山重雄・常務研究理事は「(コロナ前に)インバウンド(訪日客)の恩恵が大きかった東京や大阪は、力強さが出てくるのはこれからだろう」と分析。地方については「交通利便性が増したり、企業が進出したりした都市は堅調だったが、人口減少が進んで上昇要因に乏しい地域は今後も下落傾向が続く」とみる。【松尾知典】

熊本・菊陽町19%増、TSMC進出が影響

 大幅な伸びを記録した地方の代表格が熊本県菊陽町だ。同町では、半導体受託製造の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)が日本初となる工場を建設している。「県道住吉熊本線」(同町光の森3)は最高路線価が前年比プラス19・0%となり、全国2位の上昇率となった。

 県によると、TSMCが熊本進出を発表した2021年11月以降、県と協定を結んで立地を決めた半導体関連企業は28社に上り、計約2700人の新規雇用が見込まれる。さらに、熊本県内ではTSMCの第2工場やソニーグループの新たな半導体工場の建設も予定されている。

 TSMCの工場周辺では国や県が地域高規格道路などの整備も進める方針で、交通アクセスが大きく向上する見通しだ。こうした状況から菊陽町の隣接自治体の住宅地でも大幅な路線価の上昇がみられる。不動産鑑定士の石山博さんは「TSMC進出のインパクトは大きい。マンションや事務所用地の需要の競合から急激に上がっている」と話す。【田崎春菜】

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