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氷が大きくなった? ガリガリ君、20年ぶりリニューアルの舞台裏


 赤城乳業(埼玉県深谷市)の主力アイスキャンディー「ガリガリ君 ソーダ」が3月、約20年ぶりにリニューアルした。氷の粒を少し大きくするという、一見地味な変更なのだが、実はあるべき姿や消費者との関係を深く考えた末の決断だった。リニューアルプロジェクトを中心になって進めた同社マーケティングチーム課長の岡本秀幸さん(37)に聞いた。【増田博樹】

消費者調査結果に危機感

 ――リニューアルのきっかけは?

 ◆2022年6月、ガリガリ君について消費者調査をしました。「外出した時や風呂上がりに最適」「キャラクターが目立ちわかりやすい」などポジティブな評価が多く、狙いはまずまず理解されていました。しかし、聞きながら違和感も感じたのです。

 ――違和感を?

 ◆ガリガリ君の「こだわり」が知られていなかったのです。当社は氷の製造販売が前身で、今も氷にこだわっており、ガリガリ君も不純物のない「純氷」を使っています。調査で「甘いが、さっぱりしていて口直しが不要」という評価がありましたが、これこそがゆっくり溶ける純氷を使っているためなのです。それが浸透していませんでした。

 ――食感については狙い通りだったのではありませんか?

 ◆調査の際に、氷の粒を大きくした試作品を食べてもらうと、そちらが「今(22年6月当時)販売しているガリガリ君」という回答が多かったのです。ガリガリ君の素材やこだわりを伝えきれていない、そして、消費者のイメージと実際の商品の間にギャップがある。なんとかせねば、と思いました。

 ――発売から42年、年間4億本を売る看板商品です。リニューアルに社内の反対はありませんでしたか?

 ◆調査後の7月、氷の粒を大きくすると提案しました。ガリガリ君の課題が見つかりましたし、氷の粒が大きくなれば口の中に長く残り、より爽やかに感じます。社長(井上創太さん)も「分かった」という感じで、ネガティブな反応は少なく、むしろガリガリ君を見直すよい機会だ、という雰囲気でした。

 ――意外にすんなりと進んだのですね。

 ◆作業に入ってからは大変でした。機械を調整して氷を砕き大きさを計る、ということを氷点下の部屋で繰り返しました。できたのが、しっかり味を感じ、後味がより爽やかな、らしさが際だったガリガリ君です。リニューアルチームの仲間の反応も上々でした。

 ――消費者の反応はいかがでしたか?

 ◆完成後、各地で計10万本を配布し、アンケートでは7割以上が「前よりおいしい」という回答でした。ソーダのほか、「コーラ」「グレープフルーツ」もリニューアルしています。ガリガリ君の季節はこれから。まずは食べていただき、「ガリガリ君変わったね」という声が聞こえてくればうれしいです。

話題に欠かないのも魅力

 ――話は変わりますが、ガリガリ君は奇抜な味も人気です。

 ◆160種類以上出しています。私が12年に手がけた「コーンポタージュ味」は特にヒットしました。ガリガリ君は皆で集まってワイワイ話しながら食べるのが似合うコミュニケーションツール。誰かに話したくなる、話題のきっかけになる、ということも大事だと思っています。

 ――リニューアルではガリガリ君の「本質」を追求しました。一方で奇抜な味については今後どうしますか?

 ◆「ナポリタン味」のように3億円近い赤字だった商品もありますが、いじってもらい、時にはくだらないと感じてもらう、そんな世界観は大切にしたいと思います。最近は新しい味も口コミで満足ということも多いのですが、それでも食べてみたい、と思ってもらえるガリガリ君を作りたいですね。

岡本秀幸(おかもと・ひでゆき)さん

 1986年、福島県出身。2009年、赤城乳業入社。商品開発部を経て15年にマーケティング部、21年から現職。現在、ガリガリ君の商品企画、プロモーションなどを担当。過去にはコーンポタージュなど奇抜な味のガリガリ君も数十点開発した。ガリガリ君との付き合いは約10年になる。休日には家族で温泉旅行などに行き、非日常を感じるのが楽しみ。

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