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「襟の上からネクタイ?」元刑事の勘 詐欺未遂容疑者の逮捕貢献


 「汗ばむような暑さなのに、ジャケットを着てネクタイも締め、携帯電話で話しながら周囲の家を探すように歩いている。ひょっとしたら……」。6月19日午前10時ごろ、大津市の団体役員、中野和浩さん(63)は職場の窓から何気なく外を見ていると、スーツ姿の若い男性の姿が目に留まった。元刑事の勘で後を付けてみると――。

 中野さんは1985年から2021年3月まで県警の警察官として勤務。県警捜査2課には10年間在籍し、特殊詐欺事件の捜査などに携わったほか、次席も務めた。

 男性の様子に違和感を覚えた中野さんは、気が付くと職場を出て追跡を始めていた。数分後、男性に近付いて「どうかなさいましたか」と声を掛けた。男性は驚いた感じで訪問先を探していると答えた。しかし話す敬語はぎこちなく、ネクタイも結び慣れていないのかシャツの襟の上からしていた。その姿に「特殊詐欺の受け子だ」と確信。通報しようと考えていたところ、金融機関から「アポ電が相次いでいる」という通報を受けてパトロールをしていた警察官2人を見付け、男性の人相や言動を伝えた。直後に男性は職務質問を受け、詐欺未遂容疑で緊急逮捕された。

 大津署によると、逮捕されたのは仙台市宮城野区の配送業の男性(当時18歳)で、大津市内に住む90代の女性に「キャッシュカードを新しくする必要がある」と電話を掛け、金融機関の職員を装ってカードを受け取りに行く途中だったという。中野さんは「警察の初動が早くてよかった」と振り返る。

 容疑者逮捕に貢献したとして、6月28日に同署で感謝状を受け取った中野さんは「地域の役に立ててよかった。自分は警察官だったので追跡したが、危険な場合もあるのでまずは警察に通報してほしい」と呼び掛けた。

 警察官時代は少年課でも勤務した経験があり、今年度からは同署の少年補導員を務める。若者が闇バイトなどで受け子になってしまうケースも多く「周囲の大人とのコミュニケーションが不足しているのではないか」と話し、「街頭での声掛けなどを通じて、大人が子供を見守っていることを伝えていきたい」と語った。【飯塚りりん】

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