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コロナ自宅療養死で遺族が初提訴へ「保健所に注意義務違反あった」


 新型コロナウイルス感染で自宅療養中に死亡した東京都板橋区の男性の親族が近く、保健所の健康観察で注意義務違反があったとして、同区を相手取り、慰謝料など約5800万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こす。感染拡大時、保健所は入院先の調整や健康観察業務に追われ、医療機関も病床が逼迫(ひっぱく)した。自治体などに経緯の説明を求めてきた遺族もいるが、訴訟に至るのは初めてとみられる。

 訴訟を起こすのは、2021年8月に亡くなった会社員、北端(きたはた)明さん(当時57歳)の妹(56)。

 訴状などによると、北端さんは発症9日後、区の提供したパルスオキシメーターで血中酸素飽和度を計測したところ、入院が必要なレベル(93%)より大幅に酸素が足りない状態であることを示す70%だと保健所に伝えた。北端さんは1人暮らしで、糖尿病や高血圧の持病があった。

 だが、保健所は機械に故障の可能性があると告げ、医師に往診を依頼するよう求めた。北端さんは診察を受けられずに翌日死亡した。遺族側は、医療機関への緊急搬送を実施すれば死亡を回避できたと主張する。

 遺族の請求で健康観察の記録は部分開示されたが、非開示で黒塗り部分が多く、口頭での説明もないという。遺族代理人の杉本大樹弁護士は「訴訟を通じて死亡に至った真相の究明を図りたい」としている。

 一方、同区は取材に対し「個人情報については答えられない」としている。

 自宅療養死を巡っては、厚生労働省は、第5波(21年夏)と第6波(22年初め)、第7波(22年夏)の期間だけで1500人に上ると集計している。一部の事案については「入院調整に数時間を要した」「軽症だったが急速に重症化した」などと取り上げ、連絡が取れない人への対応をルール化するなど自治体の取り組みを紹介している。だが、個々の事案で詳しい経過の分析はしていない。

 今年5月、新型コロナの感染症法上の位置づけが季節性インフルエンザと同じ5類に移行し、感染者の届け出が不要になった。保健所の業務負担は減る一方で、自宅療養者の健康観察業務はなくなり、相談先を設ける自治体もある。【村田拓也】

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