米財務省は27日、ロシアで反乱を起こした民間軍事会社「ワグネル」と創設者プリゴジン氏に関連する4企業とワグネル幹部1人を制裁対象に指定した。ウクライナやアフリカでワグネルが軍事活動を維持・拡大するための資金源として不正な金取引などに関与したとしている。
今回の制裁措置と反乱は無関係だ。対象となった企業は▽中央アフリカの鉱山会社と金・ダイヤモンド購入会社▽アラブ首長国連邦(UAE)の工業製品販売会社▽ロシアの1社――計4社。
中央アフリカの鉱山会社は10億ドル(約1440億円)以上の価値があると試算される金鉱山の優先的採掘権を保有し、ワグネルの重要な資金源となっていた。他の3社は中央アフリカからの金を米ドルに換金してワグネル側に手渡しすることを計画。ウクライナ侵攻を巡る米国の対露金融制裁の網をかいくぐろうとした。
制裁対象のワグネル幹部は今春、プリゴジン氏の率いる企業や、西アフリカ・マリの政府高官らと協力して武器や鉱物の取引を行った。制裁で米国内の資産が凍結され、米国人との取引が禁止される。バイデン政権は1月にワグネルを国際犯罪組織に指定している。
ブリンケン米国務長官は声明で「ワグネルが活動するあらゆる場所で死と破壊がもたらされている。米国はワグネルの責任を追及し続ける」と強調した。【ワシントン鈴木一生】